新刊案内

読売新聞社会部『貧困 子供のSOS - 記者が聞いた、小さな叫び』中央公論新社,2016/6/21

○内容
豊かなはずの日本で、子供の6人に1人が貧困に苦しんでいる。
貧しさから進学をあきらめる子や、食事も満足にとれない子がいる。家庭の経済状況で、子供の未来が左右されない社会を作るにはどうすべきか――。

本書では、「子供の貧困」をテーマに、1年半余りにわたって新聞記者たちが粘り強く取材を続けた結果得られた、現代の貧困の想像を超える実態を少しずつ明らかにしています。
楽しいはずのクリスマスをおにぎり1個だけで過ごした少女がいました。行き場をなくして橋の下で10か月も過ごした少年、貧しさの中で親から虐待を受けて自殺未遂を繰り返した少年もいました。
記者たちは客観的な立場を保ちながらも、傷ついた子供たちに寄り添い、ときに涙しながらペンを取り続けました。
貧困の悲惨さだけを強調するのではなく、周囲の支えで苦境に立ち向かう子供も取り上げています。それぞれの記事の中で、子供たちが貧困から抜け出すための施策や支援が十分とは言えない現状も描いています。

○目次
第1章 心に傷を負った子供たち
第2章 進路・進学の壁
第3章 親の愛に恵まれずもがく
第4章 母として迫られる人生の選択
第5章 周囲に救いの手
第6章 貧困の連鎖を止めるために

○コメント
子どもの貧困に関する最新のルポ。印象に残っている次の言葉を思い出しました。「(財務省の官僚)『阿部さん、わかりました。では、何をすればよいのですか。具体的に、どのような政策を打てば子どもの貧困は解決』するのですか。それがわかれば、私たちだってお金をつけますよ」その時、言葉が出なかった。それが今でも悔しくてたまらない。」阿部彩『子どもの貧困II――解決策を考える (岩波新書)岩波書店,2014,pp.ⅳ-ⅴ

○関連
「【つくられた貧困】教育格差是正へ 国費を 阿部彩・首都大学東京教授」『西日本新聞』2016年6月24日
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/254004

朝日新聞 迫る2025ショック取材班『日本で老いて死ぬということ―2025年、老人「医療・介護」崩壊で何が起こるか』朝日新聞出版,2016/6/20



○内容
団塊の世代が75歳になる2025年、家でも病院でも死ねなくなる!?

「多死社会」を迎えて病院がパンク、
政府は在宅の看取りを推奨するが、
訪問医師、訪問看護師、介護福祉士の数が足りない。
今、何をすべきか?
豊富な現場取材をもとに考察する。

○目次
1部 日本で老いて死ぬということ
生きがいの喪失と回復
難しい「平穏な在宅死」
口から食べたい
第2部 介護の現実―在宅・施設それぞれのリアル
3人介護
遠距離介護
ダブルケア
虐待を防ぐ
在宅でみる
訪問看護師の力
特養で看取る
第3部 老いは地域社会で見守れるか
地域で暮らす
コミュニティ再生
未来へつなぐ

○コメント
こちらは、高齢者のルポ。Amazonでベストセラー1位に選ばれている。2位の方は、あいからわず格差を煽っていらっしゃる。