愛知県における市町村別自宅死の割合

先日の記事 で紹介した、厚労省『全国在宅医療会議』では各都道府県における市町村別の自宅死の割合が掲載され、マスコミの話題となった。元データはこちらからダウンロードできる。

早速、愛知県分のデータを集計してみた。自宅死の割合の高低順に、愛知県内の市町村を並べてある。ご覧の方もお住まいの都道府県で集計してみてはどうか。

「20160706_2.xlsx」をダウンロード

なお、自宅死の割合の出典である厚生労働省『人口動態調査』の定義による自宅とは、実は自宅だけではない

以下、二木先生の論文より転載する。

「ここで注意すべきことは「自宅」には、グループホーム、サービス付き高齢者住宅、届け出のない老人施設も含まれていることです。前二者を含むことは、厚生労働省平成24年度版死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル』(8頁)に明記されています。届け出のない老人施設も含まれることは、統計情報部の担当者に直接問い合わせて確認しました。なお、『老人ホーム』には『養護老人ホーム特別養護老人ホーム軽費老人ホーム及び有料老人ホーム』が含まれます。 」
出所:二木立「21世紀初頭の都道府県・大都市の『自宅死亡割合』の推移-今後の『自宅死亡割合』の変化を予想するための基礎作業」「二木教授の医療時評(その109)」『文化連情報』2013年2月号(419号),pp.16-27

これに加えて、大都市部での自宅死には一定層、孤独死が含まれている可能性がある。愛知県における市町村別自宅死の割合は、社会資源、地域の志向、家族介護力など変数が多く、因果を説明するのは容易ではない。偶然そうなっているだけにすぎない可能性もある。ちなみに、上位3位の市町は病院が極めて少ないかもしくは存在しないところであり、好むと好まざるとに関らず自宅で看ざるを得ないという実態を反映したに過ぎない可能性もある。

MSWとしては、自宅至上主義に溺れることなく、かといって自宅否定に走ることもなく。自宅で過ごしたい方はその様に支援し、自宅で過ごすのが難しい方にはその様に支援する。また、療養の経過で意向が変われば、それを受け止めて支援する。療養生活を考えるにあたって必要な情報は提供するが、援助職の価値判断を押し付けることなく支援をしていきたいと思う。