「(記念企画)精神保健福祉士に期待される資性・姿勢・至誠」『精神保健福祉』vol.47,№3,2016,pp.175-183

高木俊介・原昌平・柏木一恵「(記念企画)精神保健福祉士に期待される資性・姿勢・至誠」『精神保健福祉』vol.47,№3,2016,pp.175-183

原「お金の話は確かに重要です。ワーカーの人で、医療機関で働いていたら、十分ではないけれど、そこそこ食べていけるかもしれないです。しかし、福祉の事業所ってやっぱり基本的に安いですよね。1人で食べていくことはできるかもしれないけれど、家族、子どもが何人かいたら、共働きでも大変という水準だったりするので、お金なり給料なり、あるいはそのための財源というのはとても重要なことです。」(p.181)

原「ワーカーの人たちは(中略)、やっぱり人を援助するというところに自分の立ち位置を置いているから、ある意味ではおとなしく映るというのは仕方がない面もあるんですよ。表に立ってがんがんという仕事じゃないですからね。(中略)援助職はあまり自分が目立ってはいけないという感覚もあります。そこをどうやって変えていくか。やっぱり社会的に認知度も挙げて役割を発揮しないと、自分たちの立場だけではなくて、変えるべきものが変えられないと思います。」(p182)

高木「どうもソーシャルワーカーの人たちというのは、看護の人がすぐ集団になってすぐ固まるのに比べると、すごく孤立している。考え方がみんなばらばら、それはいい意味でも悪い意味でもあるのですが、一匹狼なんですよね。一匹狼のくせに牙がない。あっても虫食みたい。そこら辺がどうもPSWソーシャルワーカーさんたちの特徴みたいですが、これを自分の職場内だけじゃなくて地域の中で、特に精神科にかかわる病院のソーシャルワーカーと地域のソーシャルワーカーがもっと交流する場をつくらないと始まっていかないんじゃないかと思うのです。病院の中にいる限り、病院自体がソーシャルをみてくれもしないしみえてもこない。もう少し自分の足元からソーシャルに広げていく。地道な動きをつくっていかないと認知されていかない気がします。一匹狼ではだめです。牙はなくてもいいから取りあえず集まりましょうよ」(p183)

原「つながり、ネットワークをつくることは、業務的に得意としているはずです。1つは地道な話として都道府県の協会だけではなくて、市町村や二次医療圏などもう少し小さいところで勉強会や交流会をしていくことは、協会に入ってない人も結構多いですし、意味があるだろうと思います。」(p183)


■参考
社会福祉振興・試験センター平成27年度社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士就労状況調査結果

精神保健福祉士就労状況調査結果
過去1年(平成26年)の年収を見ると、全体の平均は347万円であった。
①労働者属性別
労働者属性別に見ると、性別では「男性」403万円、「女性」321万円であった。
年齢階級別に見ると、概ね年齢が高くなるほど年収は多くなっていた。
②雇用形態別
雇用形態別に見ると、「正規職員」では「男性」426万円、「女性」368万円であった。
「非正規職員(常勤)」では、「男性」274万円、「女性」239万円であった。

社会福祉士介護福祉士就労状況調査結果
過去1年(平成26年)の年収を見ると、全体では、社会福祉士は377万円、介護福祉士は260万円であった。
①労働者属性別
労働者属性別に見ると、性別では、社会福祉士は「男性」439万円、「女性」339万円、介護福祉士は「男性」328万円、「女性」240万円であった。
年齢階級別に見ると、社会福祉士については概ね年齢が高くなるほど年収は多くなっているが、介護福祉士については年齢による差はあまり見られなかった。
②雇用形態別
雇用形態別に見ると、「正規職員」では、社会福祉士は「男性」454万円、「女性」380万円、介護福祉士は「男性」355万円、「女性」302万円であった。「非正規職員(常勤)」では、社会福祉士は「男性」315万円、「女性」277万円、介護福祉士は「男性」248万円、「女性」228万円であった。


厚生労働省平成27年賃金構造基本統計調査
注:平成27年6月分のきまって支給する現金給与額に12をかけ、年間賞与・その他特・別給与額を足したものを年収と定義した。また、企業規模計(10人以上)を対象とした。

以下、管理者算出。

医師:約1,100万円(平均年齢40.0歳)
診療放射線・診療エックス線技師:約534万円(40.1歳)
薬剤師:約533万円(38.7歳)
看護師:約478万円(38.2歳)
臨床検査技師:約468万円(38.6歳)
理学療法士作業療法士:約405万円(31.5歳)
栄養士:約340万円(34.8歳) ※管理栄養士含む
介護支援専門員:約371万円(47.0歳)

国税庁平成26年分民間給与実態統計調査

民間:415万円


■コメント
PSWに限らず、MSWにとっても耳の痛い話。このメンバーで鼎談を行った、柏木会長の器量を称えたい。民間や他職種の給与との比較は重要な指標。