添田正揮 「講演 社会保障のゆくえと社会福祉士への期待」『日本社会福祉士会 NEWS』№181,2016,pp.2-3

講演は、2015年7月2日に開催された第24回日本社会福祉士会全国大会・社会福祉士学会において。

以下、転載。


添田正揮 「講演 社会保障のゆくえと社会福祉士への期待」『日本社会福祉士会 NEWS』№181,2016,pp.2-3
http://www.jacsw.or.jp/01_csw/02_katsudo/files/news/181.pdf

厚生労働省社会・援護局の添田正揮社会福祉専門官をお招きし、「新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン~社会福祉士への期待~」をテーマに講演していただきました。お話の概要は以下のとおりです。

昨年9月17日に出された「新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン」(以下、「新福祉ビジョ
ン」)を中心に話します。自分自身も厚生労働省職員であると同時に社会福祉士であり、社会福祉士への期待と同時に危機感を持っています。
新福祉ビジョンの中で社会福祉士がどういう役割を果たすのか、社会福祉士会が当事者として自ら発信していかないと、社会福祉士を活用していく仕組みを作ることにつながりません。社会福祉士としての役割を発信しながら、利用者のための権利擁護を進めて行ってください。
今回の新福祉ビジョンでは、4つの改革が示されています。「包括的な相談から見立て、支援調整の組み立て+資源開発」「高齢、障害、児童等への総合的な支援の提供」「効果的・効率的なサービス提供のための生産性向上」「総合的な人材の育成・確保」です。
今までは対象者ごとに専門的なサービスが充実してきましたが、福祉ニーズの多様化、複雑化から総合的な見立てとコーディネート、つまり包括的な相談支援システムが必要になってきています。ワンストップ化は以前から言われていますが、実際に機能してきたでしょうか。社会福祉士はその中で包括的相談支援推進員(仮称)を担うのではないでしょうか。ネットワーク強化や社会資源の開発について、社会福祉士ソーシャルワークの機能を果たす部分ではないでしょうか。
地域の実情を踏まえた支援の総合的な提供のための相談支援の仕組み作りを、モデル事業として実施します。50市町村を目標としていましたが、30くらいから申込がありました。
新しい福祉サービスの提供体制を担う人材の育成・確保ということで、コーディネート人材の配置が必要ですが、私個人としてはキーパーソンを社会福祉士が担ってほしいのです。
新福祉ビジョンの中に社会福祉士という言葉が1回しか出てこないことを悲観的に考えるのではなく、これから新しい仕組みを作る中で社会福祉士に期待されているのだと思います。ただ、厚生労働省内でも、社会福祉士は何をしてくれるのか分かりづらいと言われ、歯がゆい思いをしています。我々はこういう専門性を持っていて問題解決ができるということを、より発信していかなくてはなりません。まだまだ伝わっていませんから。
研究事業で人材のあり方を検討することになっています。厚生労働省として期待はしていますが、社会福祉士が何をやってくれるかを、しっかりと発信てほしいと思います。