第13回愛知県医療ソーシャルワーク学会

2018年2月10日は、第13回愛知県医療ソーシャルワーク学会が開催された。私は、2016年5月に開催された第36回日本医療社会事業学会での発表をベースに、その後の進展を反映した上で、「OneNoteを用いた法人内知識共有の試み 」という演題発表をした。

備忘録として、質問事項をメモ。

・具体的にはどういう情報を掲載しているのか。
・当院でもエクセルで社会資源情報を入力しているが、仕様が低調となる。どのような対策をとっているか。
・ともするとOneNoteに掲載されていることだけが全てと理解して実践してしまう者が出てきてしまうと危惧するがその対策はどうしているか。
・実際にどのように院内のパソコンで使用できるのか。
・記載されている文章が誤っている場合もあると思うが、更新された内容の質の担保はどのように行っているのか。

多くの方から質問を頂き有難い次第だ。発表の感想は、やはりどうしても社会資源に関する情報の蓄積手段と受け止められてしまうと感じた。当方の発表内容を反映していると思われるが、もう少しソーシャルワークの価値・倫理・技術を反映した経験則の記載も意図していることを説明する必要があると思った。

波多野(2001)が提唱する定型的熟達化と適応的熟達化に峻別した上で、定型的熟達化に関する知識については淡々と蓄積する必要があること。適応的熟達化に関する知識については、熟達化研究の蓄積に加えてショーンの提唱する省察的実践、スーパービジョンが必要であること述べる必要がある。これらは口頭発表では自ずと限界があるため、やはり論文化が欠かせないと思う。

【引用】
・波多野誼余夫「適応的熟達化の理論をめざして日本教育心理学会『教育心理学年報』40 巻,2001,pp45-47

今年は査読付きの研究誌への投稿が目標である。

あとから読み返して頂くためにパワーポイントの発表原稿を100部印刷して配布したが、88部減っていた。こちらも有難い。

同じ分科会の他の発表もそれぞれとてもオリジナリティーがあり、内容も深く参加者にとっても明日からの実践に参考となるものだったと思う。

豊田医療センターの発表では、緩和ケア病棟の中身が地域に十分に知られていないという課題に対して、緩和ケアセミナーを継続的に開催し、理解を深めていくという内容で、同セミナーの開催をMSWが院内で提起していた。

江南厚生病院の発表では、DV被害により出生届を提出することに配慮が求められる事例で自治体への依頼文章提出や振り返りのための訪問など、当院では行ったことのない支援方法が提示され大変学ぶことの多い事例報告だった。

豊田厚生病院の発表では、アルコール問題支援推進会議に演者が出席したのを契機に、院内の関係職種とパンフレットを作成したり、演者自身が断酒会に参加して当事者の意見を聞くなど、積極的な活動を行っていることが印象的だった。

学会参加者は270名近く。6つの他県MSWにも参加頂いた。今回、発表後は当日協力スタッフとして会場整理を行ったが、学会という手段がなければこれ程多様な実践・研究成果を一度に聞く場はないため、今後も継続できるよう協力していきたいとお思った。

また、信頼を置く年齢の近い2人のMSWが来年度それぞれ教員の道に進むと聞き、嬉しさと同時に悲しさがこみ上げてきて何だか複雑な気持ちになった学会でもあった。


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運営スタッフに配られた昼食。美味し。