「2-6-3 少子高齢社会を乗り切る医療制度改革と財源選択」『第30回日本医学会総会』@名古屋国際会議場

2019年4月27日、第30回日本医学会総会に参加しました。事前決済。当日はQRコードのスキャンで参加証が印字され受付が非常にスマートでした。運営上参考にしたいと思います。Peatixでも当日参加登録のQRコードのスキャンのシステムは対応可能ですが、我々の分野でITを活用することは、なかなか難しい状況があります。web申込はようやく定着してきているので、急がずじっくり取り組みたいと思います。

さてお目当ては、次のセッション。

「2-6-3 少子高齢社会を乗り切る医療制度改革と財源選択」『第30回日本医学会総会』@名古屋国際会議場
http://isoukai2019.jp/meeting/index.html

座長
二木  立(日本福祉大学名誉教授)

演者
権丈 善一(慶応義塾大学 商学部教授)
迫井 正深(厚生労働省大臣官房審議官)
松田 晋哉(産業医科大学 公衆衛生学教授)

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ディスカッション風景

■印象に残った言葉
〇権丈氏
データによる制御永井 良三 自治医科大学学長)
・財政/金融政策と人口構造という下部構造の影響を上部構造の社会保障は受けざるを得ない
・その国の購買力を超える医療費になった国は1つもない
・財源の問題は、日本医師会平成28・29年度医療政策会議報告書』と日本医師会日本の医療のグランドデザイン2030』で書いた。後者は前者を包括する内容
・一人当たりのGDPアメリカより上
・我が国は財政収支で、一度も黒字化したことはない。財務省資料でも認めていること。

〇迫井審議官
・次の3点をみている
 ・ケアニーズの変化
 ・マクロ経済と地域差
 ・ICT/AI/高度技術
・提供体制の改革
・病床にフォーカスされがちだが、外来・機能分化も重要
・健康であることによる生産性の向上
・第28回社会保障審議会 資料(2019年2月1日)
・2040年を展望した医療提供体制の改革について(イメージ) 第66回社会保障審議会医療部会(2019年4月24日)
・外来医療に注視する。”面倒見のよい外来”
・一般外来診療と在宅診療の一体化
生活の視点日常生活を支えていく
・入退院支援機能や地域連携の更なる充実
・市場において製薬会社が価格に挑戦すること自体は自由。高額な薬剤の登場で医療保険制度の危機が言われるが、製薬会社が高額過ぎて売れないという価格設定をすることはない。そして、いずれは様々な方法を用いて適正価格に落ち着いていく。

〇松田氏
・地域医療構想のこれまでの議論では療養病床に関する議論が少なかった。脳卒中・骨折といった急性期から回復期を経由するパターンではない、肺炎・心不全患者の対応をどうするか
・医療区分1の患者の受け入れ先について本気で考える必要がある。退院支援に従事する担当者はそのことに既に気付いているであろう
・慢性期の療養病床/介護施設/在宅の3つの配分をどうするか
・医療/介護/住まい/就労といった多様な分野の整合性のある複合化と、それらのケアマネジメントが必要
・DPCデータで各機能の病院受入が分かる
・SCR(内閣府)でみると各医療圏の医療ニーズを把握できる

■考えたこと
・医療ソーシャルワーカーは、具体的な医療行為を行う訳ではなく社会保障制度と医療・介護・福祉提供体制を駆使して、クライエントの生活課題の解決や軽減を図る。その中で感じる矛盾点についてミクロレベルに留めることなくマクロレベルでの調査研究や社会への発信も「セット」で行う必要があり、そのためには研究者の協力を得ることが必要だと、昨年の日本ソーシャルワーク学会以降具体的に考えるようになった。