米田悠一郎「成年後見制度 助成に制約、現場にしわよせ」『朝日新聞』2020年12月6日

米田悠一郎「成年後見制度 助成に制約、現場にしわよせ」『朝日新聞』2020年12月6日
https://digital.asahi.com/articles/ASND56QG9ND1TOLB007.html

こういう金銭がからむ仕組みは、職能団体の取り組みらしい好例。利害が一致すると組織は強く・大きくなる。リーガルサポートネットワークでも同様の取り組みがあるとうかがっています。しかし、これらの仕組みにより行政側の成年後見人への報酬支援が進まない要因にもなっていると、同ネットワークが指摘。現在行われている「成年後見制度における市町村長申立に関する実務者協議」において、少なくとも市町村申立の住民票外の施設等に利用者が入所した際の報酬について改善されるかどうか見守りたいと思います。

以下、一部転載。


長崎市社会福祉士の女性(47)は、成年後見の業務を専ら担う。市内の高齢者や障害者計28人を後見人、保佐、補助人として受け持ち、財産管理をしている。月1回程度は訪問し、必要な行政・福祉サービスにつなぐこともある。28人のうち、報酬の目安である月2万円を満額支払っている人は半分に満たない。

 受け持っている一人は、障害者施設に入所する男性で、精神障害がある。収入は障害年金生活保護費だけ。施設利用料など毎月10万円ほどの出費があり、手元に残るのは月に数千円だ。親族も高齢で支援を頼るのは難しい。女性は報酬を支払ってもらうのは無理だと判断し、年に1千円の報酬だけで請け負っている。

行政の支援が受けられない場合もあることから、県社会福祉士会では、報酬の3%をそれぞれ持ち寄り、低報酬で受け持っている社会福祉士に、分配する仕組みを取っている。