「子ども家庭福祉の専門資格創設 厚労省WGが取りまとめ案」『教育新聞』2021年1月27日

福祉業界において悩みの種であった、厚生労働省「子ども家庭福祉に関し専門的な知識・技術を必要とする支援を行う者の資格の在り方その他資質の向上策に関するワーキンググループ」がとりまとめ案を2021年1月26日に提出。

児童相談所の組織体制の課題が、ソーシャルワーカーの専門性の課題にすり替えられてしまったところからそもそもボタンの掛け違いが生じてしまった様に思う。「医師の国家資格はあるが、小児科の学習が不十分だから小児科医は別途国家資格を作る」。基本的にこういうロジックで子ども家庭福祉に関する国家資格を作ってはどうかという発案から本ワーキンググループが発足。日本精神保健福祉士協会理事の加藤委員が解説する通り、ソーシャルワーカーは今や社会福祉士に統合する方向で動いているため、当事者としては別の福祉士資格は望んでいない。今回のとりまとめで本議論が沈静化し、とは言え子ども家庭分野の教育・研修が足りないというご指摘はごもっともであるため、ソ教連の認定資格シリーズに決着することを期待したい。今回のご発案については、ソーシャルワーカーへの強い期待と捉え子ども家庭福祉分野のよりよい発展に活かしていければと思う。

一部委員の粗野な言動もすべて議事録でつまびらかになり、その点は良かった。

■参考
子ども家庭福祉に関し専門的な知識・技術を必要とする支援を行う者の資格の在り方その他資質の向上策に関するワーキンググループ(第10回)資料 令和3年1月26日
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16307.html


「子ども家庭福祉の専門資格創設 厚労省WGが取りまとめ案」『教育新聞』2021年1月27日
https://www.kyobun.co.jp/news/20210127_02/

以下、一部転載。

同案では、増加する児童虐待に対応するために、「子どもの権利」や家族の支援を考えてソーシャルワークを展開する専門職の体制強化と資質向上が、喫緊の課題になっていると強調。専門性を客観的に評価し、担保できる仕組みとして資格の創設を検討すべきだとした。

一方で、資格の位置付けについては、既存の資格との関係性や養成の課題などが指摘され、国家資格とするか認定資格とするかについては両論併記にとどめた。この日の会合でもこの問題について議論が続けられ、国家資格とすることが望ましいとする委員が多数だったものの、最終的な結論を出すのは見送られた。