介護老人保健施設における補足給付適用率(その3)

5/24の記事「介護老人保健施設における補足給付適用率(その2)」のその後。国民健康保険中央会が、平成18年4月分の「介護給付費の状況」を発表している。しかし、今回から介護保険3施設別の補足給付適応件数の表示がなされていないため、同協会へ問い合わせてみると、「4月分より『会見レジメ』という新しいカテゴリーを作って該当データを掲載しているので、そちらを参照して欲しい。」とのこと。早速みてみると「給付状況総計」というシートに該当データを発見。今回よりこちらを参考にして報告する。 介護保険3施設の補足給付適用率をそれぞれ計算すると、介護老人福祉施設84.7%介護老人福祉施設50.0介護療養型医療施設50.0%であった。先回2月分のデータと比較すると、それぞれ、プラス0.2%ポイント、プラス0.3ポイント、プラス2.0%ポイントの変化で、介護老人保健施設介護療養型医療施設共に概算値ではあるが、補足給付適用率が5割を超える結果となった。 各施設とも適用率が、微増傾向にあるという原因をどのように考えるかは難しい問題だが、①施設側の利用者及び家族に対する補足給付説明が相対的に手馴れてきた、②世帯分離手続きの促進という2点は無視できない要因であると考える。また、これまでの記事では触れてこなかったが、介護老人福祉施設における適用率が高いのは、①長期生活施設という性格上、住民票を移動させる利用者が多く、結果として単身世帯扱いとなり世帯収入が届出上激減する、②特養創設当初からの低所得者を受け入れているという特異性の2点が主要因であると考える。 ただ、各施設の適用率の増減を論じるよりも、むしろ介護保険施設入所者の5~8.5割が、住民税非課税世帯に該当するという事実をどう捉えるのかということを論じるべきなのかもしれない。これ程高い割合で、補足給付を活用せざるを得ないという状況はアブノーマルであり、視点を変えれば、利用料金設定自体がそもそも妥当なのかという疑問を持ってしまう。医療給付と同様に介護給付もまた、「最適」な介護を社会サービスとして提供できるだけの介護費総枠拡大を目指す必要があるのではないだろうか。 なお、平成17・18年度実施の税制改定による課税対象所得各控除の廃止・縮小により、本年6月にあった負担限度額認定更新以降、減額認定の対象外となってしまった方も出始めている。そのため、6月分のデータ発表時の適用率の対前月比較には注目する必要があろう。 ※注 4/8の記事「介護保険施設における補足給付適用率」の訂正 「入所者のうち補足給付適用率は1割程度のため」と述べたが、実際は4割程度の誤りであった。同月の全国値と比較すると約1割程度低い結果となった。