介護サービス情報の公表/老人保健施設

2006年4月、介護保険法第115条の29第1項の規定により、介護サービス事業者に「介護サービス情報の公表」が義務付けられた。 対象となる事業所は、以下2通り。 (1)計画基準日(H18.4.1)前1年間において介護報酬の支払いを受けた金額が100万円を超える事業所(公表情報:基本情報・調査情報) (2)計画基準日(H18.4.1)以降、新たにサービスの提供を開始した事業所(公表情報:基本情報のみ) 愛知県では、愛知県社会福祉協議会介護保険法第115条の36第1項の規定に基づく「指定情報公表センター」の指定を受け、「介護サービス情報の公表」を行うことになっている愛知県介護サービス情報公表センター http://www.aichi-fukushi.or.jp/kaigokouhyou/index.html 2006年11月30日現在、愛知県内の1292事業所の調査結果が掲載されており、老健は、156施設中53施設の調査結果が掲載されている。つまり、愛知県内にある老健全体の3分の1が掲載されていることになる。 この53施設の調査結果にざっと目を通してみたが、評価点と改善点は以下の通り。 ○評価点 ・事業の開始(予定)年月日が分かる。 ・2006年3月1日現在の支援相談員数が分かる。 ・2006年3月1日現在の支援相談員業務に従事した経験年数が分かる。 ※ここで言う経験年数とは、当該施設以前に他施設で同職種業務を行っていた時の経験年数も含んでいる。 ※このデータにより、支援相談員の数及び経験年数の分布を大まかに把握することが可能となる。老健部会における研修参加者との比較が可能に。 ・平成17年度における在宅復帰支援機能(介護報酬の加算)の算定の有無が分かる。 ※ちなみに53施設中5施設が算定していた。具体的には、以下の通り。太陽の森/たんぽぽ/ウェルビー/キューオーエル/三好老人保健施設。 ・平成17年度における試行的退所の算定の有無が分かる。 ・3ヶ月間(2006年1月1日から3月31日)の退所者の人数と退所先内訳が分かる。 ・平成17年度の入所者の平均的な入所期間(日数計算)が分かる。 ※ここで言う、平均的な入所期間の計算方法は、平成17年度における当該施設の入所者の延入所期間を入所者数で除した数を指している。 ○改善点 ・2006年3月1日現在の支援相談員数と、その経験年数の内訳数が一致しない調査結果がある。 ・平均的な入所期間が日数計算としてあるにもかかわらず、月数計算となっている調査結果もあり、単位の統一が図れていない。 ・退所先内訳の用語(自宅等、他の社会福祉施設医療機関、死亡者、その他)の定義が不明確であり、調査回答者の裁量・知識量に委ねられているため、データの信憑性が乏しい。 ※例えば、自宅等の「等」とは、本人の自宅以外の身寄りの者の家を意味しており、厚生労働省が提唱している在宅等の「等」に含まれるグループホームや有料老人ホームは含まれていない(2007年12月1日現在、筆者が愛知県社会福祉協議会介護サービス情報公表室への問い合わせた結果)。 今後、更に精度を高めつつ、アメリカ合衆国保健社会福祉省が提供する、Nursing Home Compareの様に、施設のサービスの質評価が可能となるよう期待したい。 U.S. Department of Health & Human Services Nursing Home Compare http://www.medicare.gov/NHCompare/Include/DataSection/Questions/SearchCriteria.asp?version=default&browser=IE%7C7%7CWinXP&language=English&defaultstatus=0&pagelist=Home&CookiesEnabledStatus=True 関連: 山田ゆかり,池上直己「MDS-QI(Minimum Data Set - Quality Indicators)による質の評価」--介護保険施設における施行-」『病院管理』(277)2004,pp.49-59