医療区分の見直しについて

平成20年度の診療報酬改定に向けて、医療区分の見直し議論が熱い。経管栄養・胃瘻等の処置は、医療療養病床で対応すべきと医療機関は主張、厚労省はそれにNOと。老健に転換する意向も低いし、老健で経管栄養・胃瘻等の処置がある患者さんを全面的に受け入れることには否定的。結果、患者・家族はどうすればいいのだろうか・・・。政治的決着点がどうなるか注目度大である。 私見では、老健側は胃瘻があるから受け入れNOと言っているのではなく、その後家族に在宅復帰の意向があるか否かにおいて後者である可能性が高いからNOと言っているのだと思う。無論、在宅復帰を目標としていない老健の場合、むしろ積極的に胃瘻患者を受け入れていることもあるため、話はややこしくなる。 経管栄養に熱心に取り組まれている医師や管理栄養士がいる医療機関では、その後の在宅生活のフォローアップも出来ており本人の予後も良い。しかし、ルーティンで胃瘻を造設した場合はその後の対応が悲惨である。但し、胃瘻の造設の賛否は関係者や家族の間でも分かれており、事後的にしか解釈しようがないのも確かである。一方で、造設するか否か、熟慮するほど急性期には時間はない。 第3回診療報酬調査専門組織・慢性期入院医療の包括評価調査分科会資料(平成19年6月28日開催) 以下、「慢性期分科会が報告書案を了承 医療区分の見直しに否定的見解」『社会保険旬報』№2321,2007.7.11,pp.32-33より引用。


慢性期入院医療の包括評価分科会(池上直己分科会長)は、6月28日に会合を開き、平成18年度の調査結果に関する報告書案を概ね了承した。報告書案は医療療養病棟の役割の役割について、急性期治療後の患者の受け入れや在宅支援の役割を確認したほか、医療区分の子b列評価項目の見直しは行わない見解を示している。報告書案は、この日の議論を踏まえて修文のうえ、中医協・診療報酬基本問題小委員会に報告される。 (中略) 経管栄養・胃瘻について、病院長に対するアンケート調査で医療区分2に加えるべきとの意見が多かったことから、別に検討を行ったが、平均ケア時間や費用を比較した結果、否定的な見解を示している。
医療療養病床の役割についての意見(報告書案p21) 医療療養病床の役割としては、医療機能の分化と連携の視点から、急性一般病院での治療後の受け入れが期待され、今回の調査結果からも、そのような患者の受け入れが実際に行われていた。また、急性期治療後の患者を受け入れ、円滑な在宅療養等への導入を図る一方、在宅療養等の患者等が入院治療を必要とする場合に対応する等、在宅支援の役割も担っている。 一方、医療の必要性が高く、継続的に医療療養病床での療養の提供が求められる患者像として、終末期の看取りや緩和ケアを必要とする患者、神経難病、認知症の患者等を挙げる意見もあった。 なお、喀痰吸引や経菅栄養、膀胱留置カテーテル等の医療処置が継続的に必要な患者については、介護施設においてそのような患者に対応できる位置づけができるまでは、医療療養病床において療養を提供すべきではないかという意見が出された。