「中医協が後期高齢者の検討開始 入院時の医療連携など評価へ」『社会保険旬報』№2331,2007,pp.38-39

例えば同じ病室に入院している2人の高齢者がいて、1人は74歳の前期高齢者、もう1人は76歳の後期高齢者だったとする。そして仮に両者に対して同じ退院支援をした場合、75歳以上の後期高齢者にだけ診療報酬が算定されることになる。何ともおかしな話である。退院支援は、困難かまたはそれが予想される全ての患者に対して行われているものであり、年齢によって区分されるものではない。 実務的な論点としては、医師・看護師・社会福祉士等が中心となり退院支援計画を策定することとなっているが、これらの職種のうち誰がやっても算定されるものなのか、それとも「リハビリテーション総合計画評価料」の様に、多職種共同で作成する計画に社会福祉士もいてもいいよ、と例示されているだけに留まるのか。恐らく、前回の診療報酬改定の流れからいけば後者のような位置づけとなることが予想され、また1つ社会福祉士の診療報酬上の位置付けが広がる可能性が出てきた。但し、あくまでも例示に過ぎず「ウイルス疾患指導料」の様に人員配置基準に義務付けられている訳ではないため、影響力はそれほどではないと思われる。 医療機関に配属されている社会福祉士がこれまでに取り組んできた退院支援が診療報酬上に位置づけられることは評価できる。しかし、それと同時に我々社会福祉士による退院支援の内容に対して、評価の目が向けられるということの意味をキチンと考える必要があろう。 2008年度診療報酬改定において、社会福祉士を人員配置基準にどこまで組み込むことができるか。今回の見所はその1点である。 以下、本文より引用。(一部修正)


中医協・診療報酬基本問題小委員会(委員長=土田武史中医協会長)は、12日、後期高齢さ医療の検討を開始した。後期高齢者の入院医療について、入院時の医療連携や退院を見越した診療計画作成、入院中の情報の共有・提供、退院前後の支援に対し診療報酬上の評価を求める方向が提案され、協議した。 (中略) 退院前後の支援支援については、地域の主治医との適切な連携の下、関係職種が連携して必要な退院調整や退院前の指導等に取り組めるような診療報酬上の評価の検討を指摘している。 (中略) 具体的な取り組みへの評価としては、①入院前の地域の主治医が退院後に引き続き、外来で療養上必要な指導を行った場合の評価②訪問看護ステーションの看護師等による退院前の指導や退院時の支援の評価③退院困難な患者に対し、退院支援の相当な経験を持つ看護師や社会福祉士等が円滑な退院支援をのための計画を作成し、計画に基づき退院できた場合の評価の3点を提案した。 (中略) 看護師や社会福祉士等による退院支援の計画作成によって退院できた場合を評価するという提案に対し、中川委員(日医常任理事)は「受け皿が整っていない地域もある。成功報酬的な評価ではなく、カンファレンスなど過程に対する評価にとどめるべきではないか」と疑問を呈した。 原徳壽医療課長は、「計画をつくって退院させることは悪くない。上手く調整して退院できたことを評価しないのはいかがか。無理やりの退院に繋がるとは思わない」と答えた。
【関連資料】 ・社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会「後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子」の公表について(2007.10.10) ・「第101回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会資料(平成19年10月12日開催)」『後期高齢者の入院医療について(参考資料)』中医協診-3 19.10.12) 図 看護師・社会福祉士等による退院支援のイメージ sw&nrs.JPG  出典:『後期高齢者の入院医療について(参考資料)』中医協診-3 19.10.12)より 中医協基本問題小委はこんな感じで話し合われています。 20071012-6.jpg  出所:キャリアブレイン