研修1日目

備忘録として掲載。研修生118名中、老健支援相談員は、8名のみ。わずか6.8%!


1限 「タイトルなし」 講師:熊川寿郎 氏(国立保健医療科学院経営科学部部長) 【内容】 本研修の導入として、1.ケアの質、2.ヘルスケアシステム、3.ヘルスケアシステムのパラダイムシフトの3点について解説。(3は時間が足りず省略) 【印象に残った文章・言葉】 ・品質は、提供者が決めるのではなく、使った人が決める。 ・「これまでの医療の質の研究では、ほとんどが過程(process)を評価するものであった。」(p2) ・医療費増加の主要因は、高齢化ではなく医療技術の進歩である。 ・「システムとは目的を達成しようとして協力する、相互に依存し合う複数の独立した構成要素の結合組織(ネットワーク)である。」W.E. Deming:The New Economics for Industry,Government,Education(2nd edition).1994(p3) ・機械型システムと複雑系適応型システム (前者の定義)ある刺激に対して「構成要素」がどのように反応するかがわかっていて、詳細に予測できる。 後者の定義)ある刺激に対して「構成要素」がきわめて多様な、基本的に予測不能な反応を起こせる自由度がある。(p3)※正確に予測は出来なくとも「パターン」が予想できる。 ・ケアにおけるアウトカムとは、人々の行動状況、健康、希望、資産、能力などとして表現できる生活が改善されること。 ・Efficiency(効率性)=Output/Input ・Effectiveness(有効性)=Outcome/Input ※異なった概念である。 ・MSWにとってのOutcomeとは何か。院長・事務長・他職種・国民に分かるように説明しなくては。この2週間の研修でそのことを考えて欲しい。そして指標となるものを最後のアンケートに書いて欲しい。 ・患者満足度調査が本当に実態を反映しているかどうかは、病院職員が一番分かってるはず(そんなものではOutcomeは測定できない)。 ・MSWは、日報・月報で相談件数が何件あったかを出しているぐらい。それはOutputで、Outcomeではない。自分たちの仕事で、どれだけの患者・家族がそれ以前よりもHappyな状態に変化したのかを説明して欲しい。 (懇親会にて) ・「忙しい、職場で認められない、診療報酬に位置付かない。」と愚痴っていても駄目。傷の舐め合いも駄目。1950年代から60年近く経っているのに、MSWの置かれている状況は何も変わっていない。もっと外に出て行かなくちゃ。連携って言葉の本質を考えて欲しい。他者に自分たちの仕事の中身をキチンと説明する能力が欠けている。今回の研修でそういった視点を身に着けて帰ってほしい。 ・MSWの本来の業務ってなんだったっけ?患者集めや病院からの追い出し役ではないでしょう?患者の人権を守るっていう目的があって、これから益々そういった必要が出てくる。弱者救済、そこにMSWの存在意義があるのでは? 【感想】 ・今年度の研修は、「人権」を意識して研修プログラムを組んだとのこと。同氏は、元東京都老人医療センター(711床)の臨床医(血液・老年病専門医)だったそうで、事例も交えながら分かり安く話してくれた。また、臨床経験に基づいたMSWへの課題提示にも大変気持ちがこもっていた。正直、部長職のプレゼンなので通り一辺倒の説明だけして終わるかと思ったが、いい意味で期待はずれ。 ・機械型システムと複雑系適応型システムという概念は、今後業務開発を行う上で大変参考になった。「MSWにとってのOutcomeとは何か。」この言葉が、心に深く突き刺さった。一番初めから大変満足度の高い講義だった。3.ヘルスケアシステムのパラダイムシフトは時間が足りず省略となってしまい聞けずに残念。 【評価】 ◎ 【参考文献】 米国医療の質委員会・医学研究所『医療の質―谷間を越えて21世紀システムへ』日本評論社,2002.7 ※名古屋キャンパス図書館に所蔵あり。
2限 「厚生労働行政の動向と医療ソーシャルワーカーの役割」 講師:勝又浜子 氏(厚生労働省健康局総務課保健指導室室長) 【内容】 厚生労働行政の動向のうち、特に次年度診療報酬改定に絞って解説。 【印象に残った文章・言葉】 ・国立保健医療科学院は、各医療職の管理者を対象に研修を行うという考えがある。今後、医療ソーシャルワーカー研修の初任者研修については、他職種と同じように職能団体で行ってもらうことに。一方管理者研修は、科学院で継続実施していくことになった。 ・日本医療社会事業協会は、今年に入って精力的に「退院計画をMSWが行うことによる効果」についてデータをもって厚労省に何度も足を運んでくれている。 【感想】 「看板に偽りあり」で、テキストの本文中に医療ソーシャルワーカーという言葉は一度も掲載されておらず、中医協などで使用している資料のオンパレード。「医療制度改革法」の「医療機能の分化・連携の推進による切れ目のない医療の提供」の下りでMSWへの期待を軽く述べたのみ。同氏は看護職ということもあり、訪問看護ステーションの経営状況や、保健師の人材不足などの話に熱心であった。 【評価】 ×
(明日の予定) 1限 「患者満足」 講師:永田雅章 氏(エクスアンティ取締役 プロジェクトディレクター) 2限 「業務指針と医療ソーシャルワーカーの業務」 講師:笹岡真弓 氏(文京学院大学人間学部大学院 人間学研究科教授) ①2007.12.9 加筆