研修2日目

1限 「患者満足」 講師:永田雅章 氏(エクスアンティ取締役 プロジェクトディレクター) 【内容】 CS(Customer Satisfaction)とES(Employee Satisfaction)について講義。特に、ESを向上させることが、CS向上には重要という視点からESを中心に講義。 【印象に残った文章・言葉】 ・サービスには8つの大罪があると言われている。 無関心/無視/冷淡/恩着せがましい/人間性欠如/規則づくめ/たらいまわし/待たせる (中略)自分が磨り減ってくると、8つの大罪をおかしてしまいやすい。(p9) 【感想】 ワークショップを豊富に取り入れて、飽きない内容であった。サービスの8つの大罪は、読んでいてうーん、と唸ってしまった。なお、患者満足と医療ソーシャルワークの両者がどう繋がるのかという点については、よく理解が出来なかった。 【評価】 △


2限 「業務指針と医療ソーシャルワーカーの業務」 講師:笹岡真弓 氏(文京学院大学人間学部大学院 人間学研究科教授) 【内容】 医療ソーシャルワークの歴史から、今日的動向(2008年度診療報酬への社会福祉士の位置付け)、日本協会の取り組み、資格制度問題まで幅広く講義。医療ソーシャルワーカー研修のコアカリキュラムにおいて最も根幹をなす導入講義。 【印象に残った文章・言葉】 ・ベネッセコーポレーションの調査では、中学生に人気の職業29位中19位に医療ソーシャルワーカーが登場している。 ・医療ソーシャルワーカーの主務課は、厚生労働省健康局総務課(保健指導室)。1947年保健所法に公共医療事業が位置づけられ、1948年GHQ提供厚生省編纂「保健所運営指針」に「保健所に於ける医療社会事業」が設けられたことがそもそもの始まり。MSWにとって公衆衛生が当初の領域であったことから、健康局総務課が主務課となった。 ・しかし、社会福祉士の主務課は、厚生労働省社会・援護局(福祉人材確保対策室)。そして診療報酬制度は、厚生労働省保険局医療課。MSWの業務は、様々な局を横断している。 ・本研修は、1949(S24)に第1回医療社会事業従事者講習会として開講され、今回で59回目を数える大変歴史のある研修。そして今回で最後。今後は、日本医療社会事業協会(以下、日本協会)で引き継ぐ。研修体系案は、以下の通り。
 基礎講座Ⅰ旧:国立保健医療科学院「医療ソーシャルワーカー研修・初任研修」&日本協会「初任医療ソーシャルワーカー講座」) ※5日間程度。9:00~18:00までみっちり。受講料は、会場代・講師代を考えると、3万~3万5千円。 基礎講座Ⅱ(旧:日本協会「医療ソーシャルワーカー専門講座」) 分野・テーマ別研修 ※ポイントを導入し、ある得点を取得しないと次の研修に参加できない様な、キャリアパス制度を検討している。
・医療ソーシャルワーカー業務指針を作成した当時、厚生労働省の側から尽力して下さったのは、椋野美智子氏(現大分大学福祉科学研究センター)と相原和子氏(現国際医療福祉大学)であった。 ・親と上司は選べない。でも雲と上司は流れていく。 ・病院ソーシャルワーカーが医療ソーシャルワーカーではない。コミュニティの一資源である貴重なソーシャルワーカーになって頂きたい。 ・MSWの今日的課題として、以下3点。 ①地域連携室へのソーシャルワーカーの配置。 →患者、家族の顔がみえない業務 ②電子カルテの導入 →医療スタッフの顔をみる機会の減少 ③生活の視点 →看護やリハビリテーション職と協働する生活への関与 ・MSWは、病院に1.1万人。まだまだ規模の小さな職種。小山秀夫先生(静岡県立大学教授)は、「全国にMSWを5万人にしろ!」とおっしゃる。1人あたり年間人経費600万円×5万人=3,000億円が必要。私は、3万人は欲しいと思っている。 ・今回の診療報酬改訂に向けて、今夏は徹夜で議論。その時集まったスタッフは女性ばかり。もっと能力のある男性の活躍を期待したい。 ・業務指針は、あなたたちが評価していくもの。 ・(今求められるソーシャルワーカー像)各種制度の詳細まで熟達し、さらにそれぞれの制度をクライエントに組み合わせて提供できるまでに熟達すること。クライエント・他職種・他機関・地域とパートナーシップという立ち位置から関わっていく技術を熟達すること。 ・みなさん、『社会保険旬報』はお読みですか?あの雑誌に、社会福祉士と診療報酬のことが掲載されたりしますので、ぜひお読みください。 【感想】 ・日本協会会長として、まず自分史を語った上で、私たち初任者に対して熱意を持って講義された。MSWになる前は、日本脳外科学会の事務局員をしていた頃もあるとのこと。また、ここでは文章に出来ないようなことを色々と話してもらい、大変興奮した。そうか、そうだったのか・・・。 ・ベネッセの調査で、中学生のなりたい職業19位にMSWが登場したことは、村上龍『13歳のハローワーク』幻冬舎,2003.12にMSWが登場していることも一つの要因ではないだろうか。ちなみにベネッセが行った今年度の調査には、MSWは登場せず。毎年かなり変動があるのでは。 ・平成17年国民医療費は33.1兆円であったため、MSWの人件費3,000億円は、国民医療費を約1%増加させることになる。これを大した額ではないととるか否かは私には判断できなかった。 ・会場から、「会長のパッション(情熱)はどこから来ているのですか?」との質問に、会長が「怒りです。私憤というか、公憤ですね。」と答えたことに、妙に納得してしまった。そう、やっぱりそれが根源でしょう。 【評価】 ◎
(明日の予定) 1限 「医療安全について」 講師:種田憲一郎 氏(国立保健医療科学院政策科学部安全科学室長) 2限 「人権擁護とソーシャルワーク」 講師:池田恵利子 氏(いけだ後見支援ネット代表) ①2007.12.9 加筆 ②2007.12.13 加筆