「刑務所に高齢者専用棟 3カ所で1千人収容へ 法務省」『朝日新聞』2008年1月4日

以下、朝日新聞2008年1月4日号より引用(赤文字は、筆者による)。 精神障害や知的障害を持つ犯罪者が収容されている全国4箇所にある医療刑務所には、2005年から精神保健福祉士配置されている様である。今後は身体疾患・身体障害を持つ者を処遇する刑事施設において社会福祉士の配置も検討されている様だ。記事を読んでのあくまでも想像上の感想だが、刑期を終え、かつ要介護状態にある高齢者の処遇等、特養転所までの援助も福祉士に期待されている業務なのではないだろうか。 司法福祉分野に於けるソーシャルワーカーの活躍にも期待したい。


法務省は、全国の三つの刑務所に高齢受刑者向けの専用棟を新たに設けることを決めた。フロアの段差をなくしたバリアフリーの施設にして、日常生活に支障がある受刑者でも過ごしやすくするとともに、職員の負担も減らすのが狙い。07年度の補正予算案に建設費83億円を計上。受刑者の高齢化が急速に進むなか、3カ所で約1千人を集中的に受け入れる計画だ。 対象は広島(定員1606人)、高松(同1175人)、大分(同1512人)の各刑務所。いずれも60~70年代に建設された施設で、建て替えにあわせて、それぞれ1棟を高齢者棟として整備する。高齢者向けの改修を施した施設は尾道刑務支所(広島県)の例があるが、専門棟を設けるのは初めてという。 3棟の定員は360人ずつ。車いすの受刑者でも居住棟から作業場への移動ができるようにし、壁には転倒事故防止の手すりを巡らせる予定。エレベーターも備え付ける。3刑務所とも都市部にあることから、立地条件を生かして近くの公立病院と連携し、受刑者が診療を受けやすくする。 法務省によると、全国の施設にいる60歳以上の受刑者は、97年には3400人だったが、06年には8700人まで増えた。このうち約900人は歩行や日常生活に支障がある人たちだという。 背景には、身寄りがなく、就職先を見つけられない高齢者が出所後も窃盗などを犯し、再び刑務所に戻ってくる現状がある。犯罪を10回以上重ねた「多数回再犯者」に占める65歳以上の割合は、95年は7.9%だったが、05年には20.3%に達した。 こうした高齢受刑者は食事や移動に時間がかかったり、重労働ができなかったりして集団生活が難しく、職員の手厚い対応も求められる。省は「高齢者を集めることで、そのペースにあった生活や作業をさせられ、刑務所全体の運営も効率化できる」としている。