平成20年度診療報酬改定/社会福祉士(第1報)

1月30日、中央社会保険医療協議会総会において、厚労省より「平成20年度診療報酬改定における主要改定項目について(案)」が発表された。社会福祉士の文言は、2箇所において明記されている。 全体を見渡しての感想は、以下3点。 第1に、新設の退院調整加算において、療養病棟などで行われている退院支援が評価され、施設基準に社会福祉士の名称が明記された。ポイントは、①退院に係わる調整・支援に関する部門の設置、②(病院の場合は)専従、③退院に関する支援の必要性の評価(アセスメント)、④支援計画を作成(プランニング)が必要となる。 第2に、後期高齢者医療制度において、医療機関一般で行われている退院支援が評価され、こちらでも施設基準に社会福祉士の名称が明記された。ポイントは、①総合機能評価を踏まえる、②退院調整部門の設置、③2年以上の退院調整に係る業務の経験を有する、④(病院の場合)専従、⑤退院調整の必要性の評価(アセスメント)、⑥支援計画を作成(プランニング)が必要となる。 第3に、今回の主要改定項目に回復期リハビリテーション病棟入院料の施設基準において、社会福祉士の配置が明記されていない。 第1の点は、筆者にとって初耳であったが、従来から療養病棟ではソーシャルワーカーの設置が進んでいたため本報酬の影響は大きいであろう。日本療養病床協会ソーシャルワーク部会、日本医療社会事業協会療養委員会の功績が大きいものと思われる。 但し、精神科病院でも同様だが、当該の医療機関の回転率を向上させることによって、年間利用可能病床数を増やし、結果的に地域で余剰となる病床を削減する(あるいは自然と廃業になっていく)。こういった方法で国際的にみて多すぎると指摘されている病院・病床数を削減するという視点を、昨年参加した研修において学んだ。我々MSWにはそういった厚労省側の要請として、退院支援に係わっていくという側面は否めない。 この点について、私は肯定的立場であり、社会的入院患者あるいは川上武先生の言われる「医療の福祉化」という、本来であれば福祉の領域で対応するべき人々が、長期に入院せざるを得ない非人道的状況は是正する必要があろう。この点については大方の人々と意見が一致するものと考える。 ただし、地域特性によるが、あまりにも社会資源が少ないか、もしくは入所費用が高い、といった理由で行き先がない現状もあり、その点において再び、退院促進反対という立場に戻らざるを得ない人々もおられるであろう。 第2の点は、


退院調整加算の新設(p49) 患者の同意の下、退院支援に係る計画を立案した場合及びその計画に基づき退院できた場合の評価を新設する。 (1) 療養病棟入院基本料、結核病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(結核病棟)、有床診療所療養病床入院基本料又は後期高齢者特定入院基本料を算定する病床に入院している患者 ア 計画立案時 ○○○点(ただし、入院中1回に限る。) イ 退院時 ○○○点 (2) 障害者施設等入院基本料、特殊疾患入院医療管理料、特殊疾患療養病棟入院料を算定する病床に入院している患者 ア 計画立案時 ○○○点(ただし、入院中1回に限る。) イ 退院時 ○○○点 (3) 平成20年3月31日に障害者施設等入院基本料、特殊疾患入院医療管理料、特殊疾患療養病棟入院料を算定する病床に入院していた脳卒中の後遺症患者及び認知症の患者 退院時に(2)のイに加えて、○○○点加算(平成22年3月31日まで) [施設基準] 1 病院では、入院患者の退院に係る調整・支援に関する部門が設置されており、退院調整に関する経験を有する専従の看護師又は社会福祉士が1名以上配置されていること 2 有床診療所では、退院調整に関する経験を有する専任の看護師等又は社会福祉士が1名以上配置されていること 3 退院支援に関して患者の同意のもと、以下を実施していること (1) 入院早期に、退院に関する支援の要性の評価を行っていること (2) 支援の必要性が高い患者について、具体的な支援計画を作成すること (3) 支援計画に基づいて患者又は家族に支援を行うこと 4 その他、退院調整を行うにつき十分な体制が整備されていること
退院後の生活を見通した入院医療の評価(pp.145-146) 第1 基本的な考え方 1 後期高齢者に対し入院時から退院後の生活を念頭に置いた医療を行うことが必要なことから、病状の安定後早期に、患者の基本的な日常生活能力、認知機能、意欲等について総合的な評価を行うことを診療報酬上評価する。 2 また、居宅での生活を希望する場合に、安心して居宅での生活を選択できるよう、入院時から退院後の生活を見越した退院支援計画を策定し退院調整を行う取組を評価する。 第2 具体的な内容 1 病状の安定が見込まれた後できるだけ早期に、基本的な日常生活能力、認知機能、意欲等について総合的な機能評価を行い、その結果を患者及び家族等に説明した場合を評価する。 (1) 後期高齢者総合評価加算 ○○○点 [算定要件] 1 病状の安定が見込まれた後できるだけ早期に、患者の基本的な日常生活能力、認知機能、意欲等について総合的な評価を行った場合に入院中1回に限り所定点数に加算する 2 当該保険医療機関内で高齢者の総合的な機能評価のための職員研修を計画的に実施すること [施設要件] 当該保険医療機関内に、後期高齢者の総合的な機能評価に係る研修を受けた医師又は歯科医師が一名以上配置されていること。 2 総合的な機能評価の結果等を踏まえ、退院困難な要因があるとされたものに対して、その要因の解消等を含めた退院支援計画を策定し退院調整を行うことを評価する。 (2) 後期高齢者退院調整加算 ○○○点 [算定要件] 1 退院困難な要因を有する後期高齢者に対して、患者の同意を得て退院支援のための計画を策定し退院した場合について算定する 2 退院調整に関して以下を実施していること ① 入院後病状の安定が見込まれた後早期に、退院調整の必要性の評価を行っていること ② 退院調整の必要性が高い患者について、具体的な支援計画を作成すること ③ 退院支援計画に基づいて患者又は家族に支援を行うこと [施設要件] 退院調整部門年以上の退院調整に係る業務の経験を有する専従の看護師又は社会福祉士を置くこと。ただし、有床診療所の場合は、退院調整を主に担当する専任の看護師等又は社会福祉士を配置すること

・2008.2.14 加筆 ※執筆中