介護の長期方針

高齢の親が病気や怪我により長期に医療・介護が必要となった場合、家族はまず目の前の生活をどの様にして切り抜けるか、訳が分らない中で頑張って考える。その大変さは本当に筆舌につくし難い。これを「介護における短期方針」と呼ぶことにする。 その時に相談相手になるのは、介護支援専門員であったり、主治医であったり、MSWであったり。家族は目の前のことを何とか切り抜けることができると、普通はそれでしばらく様子をみることになる。生活が一旦安定するからだ。 が、肝心なのは、その先である。インテーク面接をしていて、いつも気になるのは、こらから2-3年後先の「介護における長期方針」がスッポリと抜け落ちてしまっていることが少なくない。当施設の場合、特養が入所できるまで入所継続というのは原則していない。そのため、長期方針を決めていない場合、迫り来る退所の期日に家族は大変なストレスを感じることになる。だからといって、「ずっといて良いですよ。」と言う様な安易な言葉をかけることはない。その後、他施設を転々とし本当に大変な思いを本人も家族もしながら特養が決まるのを待つことになる。 家族に「介護における長期方針」がスッポリと抜け落ちてしまっている理由は、以下2点が考えられる。 1.家族が長期方針を意図して決めたくないと思っているため。 a.そんな先のことを決めることは可哀想 b.そんな先のことは良く分らないから考えたくない 2.家族が長期方針を意図せず決めていないため。 a.誰からもそういった助言を受けることがなく知らずにいた b.考えなくちゃと思っていたけれどあっという間に日々が過ぎてしまった ちなみに、具体的に「介護における長期方針」とは、大きく分けて、在宅方向と施設方向の2つにできる。もちろん、その中でもバリエーションがありうる。 是非、相談援助職が関っているのであれば、その辺りについて、家族にしっかりと直面化してもらうことを、援助経過のどこかで織り込んでいく必要があると思う。 それにしても、老健はもう要らない。特養を是非増やしてもらいたいものである。