介護老人保健施設からの退所先の地域差

神戸市では、介護保険事業計画の改定用資料として3年に1度介護保険施設を対象に独自のアンケート調査を実施している。今回の調査における老人保健施設調査結果が平成20年7月11日付け『神戸新聞』に掲載されている。 マクロレベルの調査としては、厚生労働省『介護サービス施設・事業所調査』がある。 今回の神戸市の調査結果と比較すると次の通り。 ○介護老人保健施設からの退所先 神戸:在宅16.1% 医療機関56.8% 特別養護老人ホーム13.3% (その他の項目不明) 全国:家庭33.0% 医療機関43.3% 介護老人福祉施設9.6% (その他の項目省略)   なお、前者調査は、平成18年12月から平成19年12月の1年間の退所者を対象としており、後者の平成18年9月の1ヶ月間の退所者と調査期間にズレがあるため厳密には比較できない。また、退所先の内訳についても語句は必ずしも同一ではない。 『介護サービス施設・事業所調査』では、残念ながら都道府県別・政令指定都市中核市別・圏域別の「介護老人保健施設からの退所先」は掲載されていない(厚生労働省統計表データベースでも同様)。 どうしても、私たちは自施設や近隣施設の経験を全国でも同様だと一般化しがちであるが、神戸市の調査結果の様に、地域別・メゾレベルで比較してみると地域差があるものと思われる。私には、力がないが、どうか厚生労働省と話が出来る方、メゾレベルでのデータを分析・公表して頂きたい。 【関連】 ・「『在宅重視』理想と現実 神戸市が実態調査」『神戸新聞web News』平成14年1月25日 ・厚生労働省4 介護保険施設の利用者の状況」『平成18年度介護サービス・事業所調査結果の概況』平成19年11月30日 以下、神戸新聞HPより転載。


老人保健施設の入所者 在宅復帰7割が困難 神戸市調査  高齢者のリハビリなどを行いながら在宅復帰を目指す老人保健施設で、神戸市内の入所者約4000人のうち、今後の在宅復帰が困難とされる高齢者が70%を超えることが、10日までの市の調査で分かった。実際に、昨年末までの1年間で在宅復帰は16%にとどまり、減少傾向にある。市は「自宅での介護の担い手不足も要因ではないか」と分析する。(紺野大樹) 神戸市は昨年十二月-今年二月、特別養護老人ホーム老人保健施設介護療養型医療施設の計百三十二施設にアンケート調査を実施。入所者の状況などを調べた。  調査結果によると、老人保健施設の入所者のうち、在宅復帰の今後の見込みについて「現状ではほとんど困難」と判断された人が71・6%を占めた。前回調査(二〇〇五年)の69・0%から微増。在宅介護の受け入れ体制など「条件が整えば可能」は24・2%だった。  在宅復帰を困難にさせている原因(複数回答)は、身体機能が向上していないことが70・8%。家族の介護負担が63・6%で続いた。  一方、〇六年十二月-〇七年十二月に退所した高齢者のうち、医療機関へ移ったのは56・8%でトップ。在宅介護は16・1%で前回調査よりも3・6ポイント減った。退所後、特別養護老人ホームに入所したのは前回よりも増え13・3%だった。  市は「特養ホームへの入所を老人保健施設で待つケースもあるようだ。在宅での介護負担軽減策が求められており、実態を踏まえ、今後の施策に生かしたい」としている。