「社団法人 日本医療社会事業協会2008年度(平成20年度)定期総会議事録」『(社)日本医療社会事業協会ニュース』№20-1,2008.6.30,pp.10-16

笹岡会長「社会福祉士以外の国家資格を求めないという方針に微塵も変更はない。福岡県の回答でも書いたが、基本的な国家資格は社会福祉士である。医師も医師免許を持っていて医学会があってその上にいろんな学会があり診療点数がついていくわけであるから、私たちも保健医療分野の専門集団として、社会福祉士会に吸収されることなく、この中できちんと専門性を担保していくという立場を取っている。」(p12) なるほど。あくまでも日本医療社会事業協会は、日本社会福祉士会とは別組織として存続していく方針であることが良く分かった。 2006年3月30日の記事で、私は「そうなると、日本医療社会事業協会は、今後、他の診療報酬項目においても社会福祉士の名称を加えていくよう厚生労働省に働きかけていく方針であるため、それが実現すればする程、医療ソーシャルワーカーという名前は姿を消し、社会福祉士という名称にだんだん収斂されていくことになる。では、その考えを突き詰めていけば、おのずと日本医療社会事業協会はその役割を終えて、日本社会福祉士会へと吸収されていくという図式が見えてくるのであるが、それは私の考え過ぎなのであろうか・・・」と書いた。 どうやらこの考えは浅はかであったようだ。ここに撤回したい。 【医師】 職能団体:日本医師会 基本的学術団体:日本医学会 専門的学術団体:日本外科学会日本内科学会など ※医師の場合は、原則、認定医・専門医ともに専門的学術団体が認定する。また、基本的に認定医・専門医は専門的学術団体に所属し、別個専門的職能団体は作らない。 【社会福祉士】 職能団体:日本社会福祉士会 基本的学術団体:日本社会福祉学会 専門的学術団体:日本医療社会福祉学会(HPなし)、日本司法福祉学会、日本学校ソーシャルワーク学会など ※社会福祉士の場合は、現在専門的学術団体と専門的職能団体がバラバラと存在していたりしていなかったり。また同一の分野で学術団体と職能団体があったとしても互いに関係はない。医療分野の社会福祉士で言えば、専門的学術団体は日本医療社会福祉学会。専門的職能団体は、日本医療社会事業協会。(なお、お互いの理事には重複している人もいる。) ここで「医師の職能団体と学術団体と比較して、整合性がないではないか」という形式論的な批判はしない。個々の職種・団体で設立の経緯は異なる訳であり、同じである必要はない。但し、医師の様に専門的学術団体が専門的職能団体も兼ねている方が、研究と実践と教育の間に一貫性はありそうだ。今後、医療分野における社会福祉士の専門的職能団体と専門的学術団体が如何に有機的に連携することができるか。大変興味深い。 なお、日本医療社会事業協会と厚生労働省社会・援護局との間で合意した医療ソーシャルワーカーの定義は、「社会福祉士を持って保健医療分野で生活相談に当たる人」(p14)だそうだ。しっかりと暗記したいものである。