新刊案内

JohnKemm/JayneParry/StephenPalmer編(松田晋哉、藤野善訳)『健康影響評価 ~概念・理論・方法および実施例~』社会保険研究所,2008.10 ○内容 HIA(健康影響評価)の代表的教科書(JohnKemmほか編著『HealthImpactAssessment』)が、邦訳により初刊行。「健康」は保健医療だけの問題ではありません。社会政策が国民に与える健康影響を評価するための手法が健康影響評価で、とくにEUでは環境影響評価とあわせて健康影響を評価することが重要なテーマになってきています。保健医療関係者のみならず、すべての開発、交通、雇用、住宅、食品、環境などの政策関係者に必読です。

【本書で取り上げている主な内容】 ●HIAの歴史(環境影響評価と政策評価からどのように発展してきたか) ●健康格差を減らすためにHIAがどのように適用されているか ●疫学・社会科学・モデルがどのようにHIAに貢献しているか ●HIAにおけるエビデンス、住民参加の役割 ●HIAの実践的な展望 ●HIAが国際間や国、地方レベルでどのように使われてきたか(カナダ、オランダ、スコットランドウェールズスウェーデン、オーストラリア、ロンドン、ドイツ等の事例から) ●地方および国レベルにおける政策や事業へのHIAの実践例


日本社会福祉学会編『福祉政策理論の検証と展望』中央法規出版,2008.10 ○内容 いま、なぜ政策理論研究か?政策理論研究の視点とは?これからの政策理論研究とは?社会福祉政策理論研究の未来を見据えた一冊。 ○目次 社会福祉研究の展開と政策・理論フォーラムの意義 第1部 構造改革の検証と課題(社会福祉基礎構造改革と福祉財政—財政論からみた構造改革インパク社会福祉供給体制の再編 平成期の高齢者福祉政策の検証—サービス面とサービス・デリバリー・システム面の変遷をもとに ほか) 第2部 新たな分析視角を求めて(社会的排除—概念と施策の批判的再考 「成人期への移行」政策と若年者支援 社会福祉にとっての「自立」支援とは ほか) 第3部 社会福祉政策研究の成果・課題・展望(社会福祉政策における問題—「対象化」のプロセス 社会政策の国際的動向と日本の特徴—ワークフェアを中心として福祉政策・運営論の動向と展望 ほか)
宮本太郎『有斐閣Insight  福祉政治 日本の生活保障とデモクラシー』有斐閣,2008.9 ○内容 日本型生活保障のしくみが解体する中、足元が崩れるような不安が広がり、社会保障や雇用は政治的争点の中心にせりあがっている。にもかかわらず日本政治は、「構造改革」の徹底にも大胆な格差是正にも踏み出せない、膠着状況にある。このような状況は、なぜ、どのようにして生み出されたのか。社会保障や雇用をめぐる政治すなわち福祉政治は、何をなしうるのか。本書は、福祉国家の構造を示す福祉レジーム論や「劇場政治」のしかけに迫る言説政治論などを駆使して、今日の福祉政治を立体的にとらえる。そして、こうした新しい視点から、戦後日本の福祉政治の展開を解き明かし、膠着状況を超える展望を示す。 ○目次 序章 日本の福祉政治—なぜ問題か、どう論じるか 第1章 福祉レジームと雇用レジーム 第2章 福祉政治をどうとらえるか 第3章 一九六〇・七〇年代の福祉政治—雇用レジームと福祉レジームの形成と連携 第4章 一九八〇年代の福祉政治—福祉レジームの削減と雇用レジームの擁護 第5章 一九九〇年代後半以降の福祉政治—雇用レジームの解体と福祉レジームの再編 終章 ライフ・ポリティクスの可能性—分断の政治を超えて ○著者情報 宮本 太郎(ミヤモト タロウ) 1958年、東京都に生まれる。1988年、中央大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。立命館大学法学部助教授、ストックホルム大学客員研究員、立命館大学政策科学部教授などを経て、北海道大学大学院法学研究科教授(比較政治、福祉政策論専攻)、博士(政治学