「訪問看護ST 8割近く病院へ搬送」『月刊ケアマネジメント』2008年10月,p71

看護師のすごいところは、モデル事業&研究をセットで実施し、それを単にいち先進事例として終わらせず、実際の報酬に乗せていく力があるところです。その後、報酬に載ることで運営上様々な制約が課せられてしまい、ご苦労も多いかと思いますが、社会福祉士として見習うことは多いです。 今回の記事に出てくる調査報告書はネット上では公開されておらず、取り寄せが必要な様です。死亡による利用終了者の在宅での死亡割合を少しでも上げたいという看護師の思い、医師の判断、家族の意向、血縁者の意向、本人の意向、本人の身体状況、色々なものがせめぎ合っているのだと推察します。他の死亡による利用終了者の場所内訳を知りたいですね。 ちなみに平成19年度、全死亡者のうち自宅死亡者の割合は、12.3%でした(病院は79.4%)。 話は変わりますが、本調査を実施した日本訪問問看護振興財団は、療養通所介護の創設を上記プロセスを経て、平成18年4月の介護報酬改定で見事に実現しました。療養通所介護は、中重度の医療依存度の高い在宅生活者と家族の支援を行うという点で大変意義のあるものと思います。しかし、数が少なすぎて利用できる人はほんの一握り。たくさんの利用者を一度に看るわけにもいかず、また単価も低い(通所リハ6-8時間とあまり変わらない)ため、採算がとれないことや看護師の人員配置といった点で事業所数も伸び悩んでいる様です。 療養通所介護の全国事業所数は、平成19年10月現在約50ヶ所とのこと。(日本訪問看護振興財団調べ) 以下、同誌より転載。
ターミナルケア」に力を入れている訪問看護ステーションが過半数を超えているものの、死亡による利用終了者の47%は病院で死亡しており、見取るまでに至らないケースが少なくないことが、日本訪問看護振興財団が実施した訪問看護・家庭訪問基礎調査で明らかになった。病院へ搬送された理由は、「主治医の勧め」と「家族の希望」で8割近くに達しており、本人の希望を大きく上回る。