「DPC新機能評価係数でヒアリング、民間病院がコ・メディカル評価の重要性を指摘 分科会(2009.2.23,22:25)」『Online Med 』

いつもお世話になっているOnline medの記事から、DPC評価分科会にて、調整係数廃止後の「機能評価係数」案として、MSWも含めたコメディカルの配置を評価してはどうかという意見が出ていることを知った。早速、本日時点で関連する資料をざっと眺めてみた。 その上での感想としては、特に活発にMSWの配置のみに特化して委員が議論している訳ではなく、ヒアリングで呼ばれた財団法人脳血管研究所附属美原記念病院病院長の美原盤氏による精力的な発言が、結果として掲載されているようだ。同氏には感謝したい。 以下、4つ関連資料を紹介する。 1つ目に、最初に登場するのが平成20年11月12日の第5回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会である。ヒアリングに招かれた財団法人脳血管研究所附属美原記念病院病院長の美原盤氏らが、以下の様に述べている。


○美原院長(美原記念病院) よろしいでしょうか。うちは回復期リハ病床も非常に在院日数は短くなっています。 それの一つの要因というのは、一緒に併設機関として老健アルボース:著者注)を持っているからです。こちらの老健も基本的には在宅復帰がメインの老健でして、在宅復帰率がうちの併設老健は80%近くいっています。そして、月の入退所の数は約200です。すなわち、ずっと老健というのも入れっ放しにしておくところではなくて、老健としての本当の機能を重視しているというか、そういうつもりで運営しております。  したがって、まず一般の急性期病院が次の受け入れ先がない、実を言うと我々もこの病棟編成をするときに急性期病棟の受け入れとして回復期があり、回復期の受け入れとして老健があり、その老健の受け入れとして在宅があるわけで、そこのところを全部一貫して目を配っていかないとどこかで行き詰まってしまうわけです。そういう意味で、それぞれの持っている機能、施設の中にある機能というのを本当にがっちりやっていく、つまり回復期は50日ぐらいだ、老健は3カ月以内で必ず出すんだ、そしてあとは在宅に持っていくんだということをきっちりやっていけばそれほど困難なことではありません。  一番ここのところで重要なのは、やはりMSWの役割だろうと思います。うちはMSWが入院したときから入ります。すなわち、帰るときではないんです。入ってからこの人は一体どういうふうになるだろう、入ったときから次の先行きを考えてやるというようなことをやっていると非常にスムーズにいきます。ですから、回復期リハ病棟に移ったときにはもう在宅を考えて、いろいろな次の介護保険を使いましょうとか、在宅のネットワークはどういうふうに使いましょうという話ができていますので、それほど、その在宅医療の環境を整えるために時間が必要で、そのための入院というのはあり得ません。それはなぜかというと、入院時からMSWが入っているからです。ちなみに、MSWは各病棟に1名ずつ専属で配置されております。 ○西岡分科会長  青森はいかがですか。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  そうですね、なるべく患者さんはいろんな状況があっても受け入れるようにはしています。中には刑務所に入っている方とかも打診されることもあるんですけども、そういう場合はなるべく公立病院にお願いしていますが、退院までこぎつけるのに病状だけじゃないという、社会的な背景が非常に大きな部分もありまして、やはり美原記念病院の先生がおっしゃったように、MSWの貢献度というのは非常に高いんじゃないかと思います。 いろんなところと結びつきを持ちながら、たまには後見人になったり、そんな形でやはり何とか施設に入れたり、もしくは特養、在宅に持っていったりという、いろんなことをやっていますので、先ほど先生、どなたか委員の方から質問がありましたが、そういったことも係数のほうに何か加えていただければと思っています。
2つ目に、1月21日の第9回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会である。 「DPC評価分科会委員の提案」として、東邦大学医療センター大森病院心臓血管外科部長の小山信彌氏の提案書「調整係数廃止と新たな機能評価係数の設定に伴う提案」の「5.新たな機能係数の提案」「(1)人員配置に対する評価 ③ コメディカルスタッフの配置に関する評価」に以下の通り述べられている。
「薬剤師、診療放射線技師臨床検査技師、管理栄養士、臨床工学技士、医療ソーシャルワーカー看護必要度の高い病棟における看護補助者、医師の事務作業負担軽減のための事務作業補助者、電子カルテ導入による情報処理担当者等が診療報酬に直接反映されていないにもかかわらず、安全かつ先進的な医療のため、重厚に配置していることを評価していただきたい。」
3つ目は、2月12日の第10回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会である。 改めて、財団法人脳血管研究所附属美原記念病院病院長の美原盤氏が資料を提出しており、その中で次の小論文を掲載している。 金井将人ほか『急性期医療における未収金発生防止への取り組み-医療ソーシャルワーカーの果たすべき役割-』 本論文は、第50 回全日本病院学会(平成20 年11 月、東京)にて発表したものとのこと。 なお、『社会保険旬報』誌№2379(2009.2.21)号の記事(p42)によると、同日分科会にて、オブザーバーの赤穂市民病院の邉見公雄氏が「医療連携にソーシャルワーカー、医療機器の安全に臨床工学技士が必要なように、チーム医療を評価すべき」と述べているようだ。なお邉見公雄氏は、以前も紹介したが、中医協の病院代表として出席して以来一貫して、MSWの配置についてご発言頂いている。こちらもありがたいことである。 4つ目に、2月23日(月)の第11回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会である。「具体的な項目の提案等について(経過報告(案))」が事務局から提出されており、これまでの論点が整理されている。その中で、財団法人脳血管研究所附属美原記念病院病院長の美原盤氏との意見交換として、以下の様に述べられている。 「イ.チーム医療の実践に対する評価 ○病床規模に比した一定数以上のコメディカル スタッフ(薬剤師 リハビリ 栄養士 MSW)の配置を評価することで、効率化や医療密度の充足、直接看護時間の増加等の医療の質の向上が期待できる。」 以下、Online Medより転載。
DPC新機能評価係数でヒアリング、民間病院がコ・メディカル評価の重要性を指摘 分科会(2009.2.23,22:25) 救急医療評価では出来高算定も(中医協情報:DPC)  DPC評価分科会は2月23日、地方の中核的病院となっている民間病院の院長らを招き、調整係数廃止後の新たな「機能評価係数」についての意見を聞いた。救急医療の評価、管理栄養士や薬剤師、MSWの評価の重要性が議論された。   意見を求められたのは、北海道の手稲渓仁会病院(547床)、高知県の近森病院(338床)、長野県の相澤病院(471床)で、それぞれに救急医療への評価の必要性を訴えた。  救急医療については、分科会の委員からは入院初期を出来高算定とする案が提案されており、3病院側からもそれに賛同する意見が出された。  一方、高齢化とそれに伴う合併症や障害との関係への対応も必要とされ、年齢、救急、障害とを組み合わせた評価を求める意見もあった。  人員体制に関する評価では、医師や看護師の配置に関する評価が進められてきた一方で、薬剤師、管理栄養士、メディカル・ソーシャル・ワーカー、また医師の中でも放射線医、麻酔科医、病理医などの評価が十分でないことが指摘された。  薬剤師や管理栄養士については、病棟に配置されている場合の評価が重要だとされ、MSWについては、患者の退院後への取り組みで重要な役割を担っていることが強調された。  昨年の診療報酬改定でDPCはトータルで引き下げとなったことから経営が厳しさを増していることも議論となり、調整係数が1.3弱を高い手稲渓仁会病院は調整係数がなければ赤字だとし、1.05程度の相澤病院は今年度は赤字の見込みだとした。