リハビリテーションマネジメント加算について

リハビリテーションマネジメント加算の経過 09年度介護報酬改定の議論が行われています。通所リハビリテーション事業所にとって、今話題になっているのがリハビリテーションマネジメント加算(以下、リハマネ加算)です。 これは、改訂前つまり今年の3月31日までは利用者が月に何回来るかは問われず、あくまで計画的に個別リハビリテーションを行った場合(月何回実施するかは任意)算定できました。1回当たり20単位(保険料から事業所に180円入り、20円は利用者から徴収する)。 例えば月平均80名の利用実績がある場合、事業所は月に48万円(80×200円×30日)の収入がありました。これは、社会保険料とボーナスも含めた約1人分(あるいは2人分?!)の賃金に相当します。 これが、平成20年12月26日の厚労省の介護給付分科会(第63回)で配布された資料で、09年度以降は「月に最低8回は来ないと算定できないよ」と記載されたため、週1回=月4回しか利用していない人、週2回利用しているけれど何らかの理由で数回お休みしたため月8回の利用を下回る人にこの加算が算定出来なくなることが分かりました。 更に、先ほど述べたようにこれまで出来高払い(1回当たり20単位)だったものが1月に230単位を加算すると定額払いに切り替えになります。 また、リハマネ加算とは別に、医療機関や施設から退院・退所してきたばかりだったり、介護保険の認定を受けたばかり出会ったりした方に、短期集中で1対1の個別リハビリテーションを行う、短期集中リハビリテーション加算というものもあります。厳しい状況は重なり、この加算の算定要件は、「リハビリテーションマネジメント加算を算定していること」となっています。 つまり、リハマネ加算が算定出来ない利用者は、短期集中リハビリテーション加算(09年度以降、退院・退所・初回認定日から3カ月越の場合は、個別リハビリテーション加算に名称変更)も算定出来ないこととなり、リハスタッフがいくら仕事を頑張っても何も報酬がもらえないという事態が予想されました。 事業所・リハスタッフの反応 事業所やこの加算も含めリハ関連加算の収入によりリハスタッフの人員確保をしているリハ役職者は困ってしまいました。作業療法士協会は、2月13日付で厚生労働省に算定要件の緩和を訴える要望書を提出しています。 また、事業所の中には09年度以降もリハマネ加算・個別リハビリテーション加算を算定するために利用者に「ねぇ、ねぇ。今週1回来てるけど週2回に増やさない」という声掛けをしているところがあるという噂も聞きます。 変化の兆し こういった状況に、先週変化の兆しが見られました。2月19日の全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議で配布された資料において、リハマネ加算の算定要件の解釈が示され、「リハビリテーションマネジメント加算は、一月に八回以上通所している場合に、一月に一回算定するものとすること。ただし、指定通所リハビリテーションの利用を開始した月にあって、個別リハビリテーションを行っている場合にあっては、八回を下回る場合であっても、算定出来るものとする。」ということになりました。 また、退院・退所・認定日から3カ月を超えた利用者に対する個別リハビリテーション加算の算定要件に例外規定が加わり、a高次脳機能障害失語症を含む。)、b先天性又は進行性の神経・筋疾患(医療診療報酬点数表における難病患者リハビリテーション料に規定する疾患)については、月8回の利用回数を下回りリハマネ加算は算定出来なくとも請求可能とされています。 これらの点については、要件が緩和されたと言えます。ただし、そういった例は当然一部の利用者にしか該当せず、それ以外の利用者では依然として問題が解決されていません。事業所は少なくとも、個別リハビリテーション加算だけでも算定するために主治医からの診療情報提供書あるいは診断書に「高次脳機能障害と書いて下さい。」とお願いするところも出てくるでしょう。 私見 一方、短期集中リハビリテーション加算イ・ロ(退院・退所・認定日から3か月未満)の算定に当たっては報酬増(イ180単位→280単位、ロ130単位→140単位)、かつリハマネ加算も通常週2回利用であれば従来の160単位/月から定額230単位/月と増額になります。 今回の改定により、事業所はイ・ロの算定を確実なものとするために月8回以上来てもらうよう週2回+αの利用を勧めるでしょう。結果的に利用者が望めば一人当たりのリハビリの機械は増えることになります。 問題は、退院・退所・認定日から3か月超かつ月8回以上の利用を見込めない利用者です。厚労省としては、「やるなら週2回は個別リハやりなよ。」ということなのでしょうが、実施回数は事業所の医師にその判断をゆだねるべきであり、国が介入することではないように思います。また、利用者自身の「私は別に週1回の利用だけでいいわ。」といった意思が尊重されなくなります。

現状のままでは、イ・ロの対象者は優遇され、3カ月超の対象者(一部を除いた)のうち月8回以上の利用が見込めない利用者は、通所リハビリテーションの利用自体は継続できるけれど、収入にならないからとリハスタッフから個別リハビリテーションをやってもらえなくなる恐れがあります。 4月まであと約1カ月、現状が少しでも改善されること願います。