先人の知恵を借りる

自分が思いついたことがらのうち大抵のことは既に誰かが思いついている。白澤先生はアイデアが豊富かつ、どれも現実的なもの(ここが重要)であり大変参考になる。 同氏のブログ『ソーシャルワークの TOMORROW LAND』2008.2.24の記事「カリキュラム変更による新たな教科書への期待」は今日のソーシャルワーク分野において大変刺激的な内容だ。 内容は、医学の領域で『今日の治療指針』医学書院という本が毎年出版されており、疾患別の治療指針が掲載されているソーシャルワークもこの様な著書を毎年刊行できるようになれば、極めて役立つと思われるとのこと。そして私にとって重要なポイントは、「生活問題類型別の支援指針が示されると、社会福祉士のレベルアップにつながること間違いない」との指摘である。 6月15日の拙記事には、多くの方からコメントやメールを頂き反響があった。とけないゆきだるまさんのご指摘の通り、「標準的なアプローチ+個別性に応じたアプローチ」の複線的なアプローチを私は目指していきたいと思っている。そのため、前者の標準的アプローチ=『今日の支援指針』といったイメージで書いてみたい。具体的には、疾患・分野別のソーシャルワーク支援方法について生活問題類型化別に支援指針を示していくことが希望である。 以下、具体例を示してみた。呼吸器科に配属された1年目ソーシャルワーカーの現時点での到達点である。これに他機関で働く先輩ソーシャルワーカー方からの意見を踏まえ更に精緻化していくことで支援水準が向上するのではないかと考える。 但し、①制度が都道府県・市町村によって異なる、②疾患と異なり生活はコントロールしずらいといった課題があるため、これらの点についても併せて検討していく必要がある。


例:間質性肺炎患者へのソーシャルワーク支援指針 【総論】(医学的な症状・標準的治療と予後) ※難病情報センター家庭の医学メルクマニュアル参照のこと 【生活問題】※疾患特有のあるいはライフサイクルに応じた生活問題に対するソーシャルワークについて解説 (作成中) 【活用しうる社会保障制度】※最低限行う必要のある社会保障制度活用について解説 ①HOT(在宅酸素療法)を導入し、自宅へ復帰される場合は身体障害者手帳(呼吸器障害)の申請を行うことによって最低でも3級が取得できる。申請後等級が決定するまでに約1カ月かかるが、決定後直ぐに心身障害者医療制度の申請を行うことにより医療保険の自己負担分が全額公費補助(地域によって等級や補助額が異なるので注意が必要)となる。但し、心身障害者医療制度は申請日からしか適応にならないため注意しなければいけない。 ②間質性肺炎患者の中には特定疾患病名である特発性間質性肺炎に該当する場合があるため、該当の有無について医師に確認する必要がある。なお、症状が一定の基準を満たしている場合、特定疾患治療研究事業に該当する。医療費の自己負担上限額が所得によって決められており、入院の場合、高額療養費制度よりも自己負担が安くなる。申請後、認定されるのは2-3ヶ月後となるため、その間に支払った医療費については認定が下りた段階で申請日までさかのぼって返金される。 この場合、①の心身障害者医療制度の受給までに若干の時間(1ヶ月)を有してしまうため、HOT導入が外来の時点で決まっており、かつ特定疾患である可能性が高い場合には、先に特定疾患治療研究事業の申請を行うことで、HOT導入教育入院時の医療費から患者負担が軽減される。 【参考文献】 ・黒木信之編『患者さんにそのまま見せる医療福祉相談の本』2009 ・難病情報センターhttp://www.nanbyou.or.jp/(2009.6.26アクセス) ・家庭の医学http://health.goo.ne.jp/medical/search/10760100.html(2009.6.27クセス) ・メルクマニュアル18版http://merckmanual.jp/mmpej/sec05/ch055/ch055a.html (2009.6.27アクセス)