「“不況型”生活保護申請が急増 春日井、ケースワーカー忙殺」『中日新聞』2010年5月9日

担当ケース数と人員の関係についてきちんとデータで示すことは適切な業務を行う上で基本となりますが、なかなかその必要性が福祉の世界で一般化しません…。精神論、なんとなくこなしてしまう、目の前の業務に追われて大局的に考えられない、といったところでしょうか。 以下、中日新聞HPより転載。
「“不況型”生活保護申請が急増 春日井、ケースワーカー忙殺」『中日新聞』2010年5月9日 不景気を背景に生活保護の受給者が急増している。特に派遣切りや企業の倒産で職を失った人たちの申請が増えており、春日井市ではこうした稼働世帯の受給が271世帯に上る。市はケースワーカーを増やして対応しているが、現場からは「事務作業に追われて受給者の話をじっくり聞けない」と悲鳴が上がっている。  市生活援護課によると、生活保護の新規申請は、リーマンショックが起きた昨年1月以降に急増。2009年度は574件の申請があり、受給世帯は1670に達した。支給総額は35億3600万円で、市は8億8400万円を負担する。  高齢者や母子家庭の受給者は微増で推移する一方、急激に増えているのが稼働世帯だ。派遣切りやリストラ、工場の閉鎖などで失業した人が生活保護に流れ込んでおり、長年ケースワーカーを務める社会福祉士の長坂匡哲さん(35)は「不況型の受給構造になっている」と話す。40代が中心だが、中には20代もいるという。  受給者の相談や自立支援を行うケースワーカーは、相次ぐ申請に忙殺されている。申請があると2週間以内に資産や生活実態を調べなければならない。「新規ケースが次から次に舞い込んで他の仕事に手が回らない」のが現状だ。  国の基準では、ケースワーカー1人が担当するのは80世帯が望ましいとされている。春日井市の場合、09年度は111世帯。4月に2人増員して17人体制としたが、98世帯と依然として繁忙状態が続いている。  長坂さんは「1人1人にかける時間が少なくなることで、受給者の生活が把握できなくなる。それが必要な支援の見落としにつながる」と危惧(きぐ)する。  一方で、受給者の自立とケースワーカーの負担軽減を目指す取り組みも始まっている。市は昨年4月、ハローワークと連携した就労支援事業をスタート。働く意欲のある受給者を対象に、ハローワーク職員や市の就労支援相談員がチームを組んできめ細かな就労支援をしている。この制度でこれまでに6人が仕事を得たという。  生活援護課の伊藤淳一課長は「今後も臨時職員の活用などでケースワーカーの負担軽減も図っていきたい」と話していた。