日本医療社会事業協会と福祉新聞の結末

・2010年6月12日 「定款変更 可決されず MSW協、認定制限に疑義」『福祉新聞』2010年6月7日 ・2010年07月20日 福祉新聞(6月7日号)に掲載された記事および日本医療社会事業協会との合意事項 で取り上げた、5月28日に開かれた日本医療社会事業協会2010年度定期総会の模様を報じた福祉新聞6月7日号の記事について決着が付いたようです。 全国各地より情報提供頂いた皆様、心よりお礼申し上げます。 発行から日にちも経過したので記録として以下の通り転載します。


「訂正とお詫び」『福祉新聞』2010年8月16日付2493号 7月26日付第2490号3面で社団法人医療社会事業協会からの抗議に対する本紙編集長名の回答内容を掲載いたしましたが、その後の内部調査で同協会の定期総会を紹介した6月7日付第2483号号3面記事について誤認・誤報があったこと、本来報道を控えるべき内容を記事として紹介していたことが明らかになりました。 この事実に対して本誌は8月9日、代表取締役社長・見坊和雄以下5人の役職員が、同協会に出向き、笹岡会長に謝罪いたしました。 今回の報道は、福祉界唯一の専門紙として「中立」「公正」を掲げる本誌としては不適切なものでした。ご迷惑をおかけした社団法人日本医療社会事業協会及び読者の皆様に謹んでお詫びいたします。
「MSW協の抗議に回答 本紙『謝罪、訂正しない』」『福祉新聞』2010年7月26日付第2490号3面 医療ソーシャルワーカー(MSW)らで構成する日本医療社会事業協会(笹岡眞弓会長)が、同協会の総会を報じた本紙記事に6月25日付文章(編集長宛)で抗議していた問題で、本紙は同協会が求めていた謝罪と訂正記事の掲載には応じないことを7月20日、編集長名で回答した。 同協会が抗議したのは、今年5月28日に長野市内で開かれた同協会2010年度定期総会の模様を報じた本紙6月7日号3面の記事。同協会が公益社団法人に移行するための定款改正案が可決されなかったことから、見出しを「定款変更可決されず」とした。 記事は、定款改正案に同協会の事業として認定社会福祉士(医療分野)の認定制度を位置付けたこと、会員から同認定制度に対し疑問が続出したことなどに触れているが、抗議文は「認定制度に疑問が続出したとの記述は事実を歪曲する記述だ」とした。 これに対し本紙は「貴協会の議事録に、認定制度に関する複数の質問と答弁が記録されています。従って、事実を歪曲する記述ではありません」と回答した。 また、抗議文は記事が「公益社団法人を目指すのは、(中略)認定社会福祉士(医療分野)を創設するためだ」とした点を問題視。「公益社団法人を目指す目的は、当協会がこれまで行ってきた国民の社会福祉に役立つ公益的な事業を維持、発展させるため。記事は明らかな誤報だ」とした。 これに対し本紙は「議案書20頁の『公益社団法人に移行することを選択した理由』の一つとして『認定社会福祉士(医療分野)の資格に権威を付与するには、認定機関である当協会が公益事業を行っている団体であると認定されることが必須であると判断される』とあり、明らかな誤報ではありません」と回答した。 さらに、笹岡会長が同認定制度について「日本社会福祉士会と話はついている」と発言したことに関連し、日本社会福祉士会が「事実と異なり非常に遺憾である」とコメントしたことを記事掲載した点も問題視。抗議文は「会長答弁の一部をとらえて記載し、会員を誤信させ関係団体との間に摩擦を生じさせた」と批判した。 本紙は「ご指摘のような事実が生じたこと、その原因が弊紙記事にあるということの確認はできません」と回答した。
【おまけ】 以下は、日本精神保健福祉士協会HPより転載。なお、同ページには『踊る大捜査線 THE MOVIE3』に登場する精神保健福祉士の設定について「指摘とお願い」(2010/7/23)が掲載されている。→フジテレビジョンからの回答(2010/8/11)もあり。 標  題 (社)日本医療社会事業協会ニュース(№22-1号/2010年7月5日発行)掲載の「2010年度定期総会議事録」の一部訂正等について(依頼) 日  付 2010年7月26日 発翰番号 JAPSW発第10-125号 発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦 提 出 先 社団法人日本医療社会事業協会 会長 笹岡眞弓 盛夏の候、ますますご清祥のこととお慶び申しあげます。  日頃より、本協会の事業および活動に深いご理解を賜り、厚くお礼申しあげます。  さて、貴協会が発行されている「(社)日本医療社会事業協会ニュース」(以下「ニュース」という。)の№22-1号(2010年7月5日発行)掲載の「2010年度定期総会議事録」(以下「議事録」という。)を拝読したところ、本協会に関連した発言が見受けられ、一部事実と異なる内容で掲載されておりました。  貴協会には精神保健福祉士ならびに本協会構成員も入会しており、貴殿より定期総会の場において事実誤認による発言があったことや当該発言に基づく議事録がニュースに掲載されたことは極めて遺憾であります。  つきましては、ニュースに掲載された議事録における貴殿の発言に関して、下記の掲載箇所における該当部分の訂正をお願いいたします。                                                            記 【掲載箇所】ニュースの20ページ、右段28行目から36行目まで <該当部分> 「それと精神保健福祉士協会のことについては、精神のほうの協会とは一度話し合いをした。この認定をつくるときにも話し合い、精神のほうとは一緒にやっていきたいと話しをしたが、今、精神保健福祉士は、むしろ医療機関であるよりは司法であったり、別のほうに拡大しているとのこと。自分たちは医療機関だけではなく、むしろ地域のほうに発展しているという回答を常務理事のほうからうけている。」  この記載内容では、貴協会と本協会との間で話し合いが2度あったように読み取れます。  しかしながら、本協会では、2009年10月31日に開催された貴協会の医療ソーシャルワーカー認定機構検討委員会による「精神保健福祉士の現状と今後の方向について」をテーマにした意見交換の場に招聘され、常務理事2名が参加させていただきましたが、その場以外に、貴協会と本協会との話し合い等の場がもたれた事実はありません。また、貴協会より本協会に対して、貴協会の創設される研修制度に関する正式な申し入れ等をいただいた事実もありません。  また、先の意見交換の場では、貴協会が認定制度を創設するに際しては、医療ソーシャルワーカーの研修対象領域に精神科医療も含むという考え方が示され、その部分を本協会と一緒に実施する可能性について意見を求められました。その際、出席した常務理事からは、貴協会の研修対象領域に精神科医療を含めることには理解を示させていただいております。また、本協会が実施している研修制度については、精神保健福祉士が従事する場が医療機関のみならず、地域における生活支援機関など多岐にわたることから、精神科医療という領域のみでの認定(研修認定精神保健福祉士、認定成年後見人、認定スーパーバイザー)制度ではなく、対象領域を問わない基幹型の研修を中心とした研修体系にて実施していることをご説明しているところです。  しかしながら、議事録における貴殿の発言内容となる議事録では、本協会では“医療領域よりむしろ他領域への展開を重視している”ように読めるものであり、本協会としては、そのような話をした事実はありません。また、意見交換の場のやりとりの内容に関して、本協会への事実確認もなく、定期総会で事実誤認による発言がなされたことは極めて遺憾であります。  近日、貴協会の臨時総会が開催されると聞き及んでおりますので、貴殿の発言及び議事録の記載事項に関して、事実に基づき、是非とも訂正いただきたく、よろしくお願いいたします。