新刊案内
PSWののちに、横浜市ソーシャルワーカーとして勤務された方のご様子。
○著者略歴
日本社会事業大学社会福祉学部卒業後、民間精神科病院ソーシャルワーカーに就労、出産のため退職。その後、地方自治体の福祉事務所ソーシャルワーカー、局企画部門で介護保険事業推進本部、社会福祉基礎構造改革検討、福祉行政と保健行政の組織統合・業務再編に携わる。2008年立教大学大学院コミュニティ福祉学研究科博士課程修了、博士(コミュニティ福祉学)。現在、田園調学園大学人間福祉学部非常勤講師、調査研究組織・福祉と保健の生活課題を考える会代表。
○内容
何が支援を困難にさせているのか
個別問題から政策課題までの過程を詳細に解明
本書は、実践的視点にたって、支援者が意識する様々な支援困難事例を調査し、個別問題から政策にいたる課題と解決方法を探る。地域において個別のミクロ的実践は、いくつもの方向性を持つ開かれた実践であり、政策と関わりをもつことを明らかにする。
[本書解説より/高橋紘士]
福祉実践の原点である「生活困難者」への支援のあり方を理論研究(本書のショーンの言葉を借りればフレーム分析)と実態調査の計量分析に即して解き明かし、政策提言にまで高めた本書は、永年の著者の福祉実践の経験者ならではの知見がちりばめられたものである。
○目次
はじめに
序 章 事例分析と支援策の構築をめざして
1 ソーシャルワーカーが持つ個別事例への関心
2 実践者と協働する省察的研究の視点
3 生活支援の方法における実証的研究
4 本書の構成
1章 支援が難しい人への生活支援
1 研究史にみる「生活」と「生活の支援」
2 支援困難へのアプローチ
3 生活支援の構成要素と支援困難の構成要素
4 生活支援の概念化と支援困難の6要素
2章 支援困難と事例検討
1 支援が難しい人の姿と事例検討
2 事例検討からみる支援困難な生活課題
3 支援活動と事例検討の意義
4 一つの事例検討だけで完結させない
3章 支援困難事例の量的調査
1 重複する生活困難課題
2 地域における支援困難要素の出現頻度
3 面で捉える支援困難事例
4 地域調査から見えること
4章 支援困難事例のクラスター分析
1 クラスター分析
2 9つのクラスター
3 クラスター分析からみる支援上の課題
4 クラスター分析から政策的検討へ
5章 生活支援の政策構築へ
1 社会的対応力の強化を目指す重層的事例検討
2 支援困難事例調査分析から浮かびあがる政策課題
3 生活と支援の乖離、その対応
4 生活支援と相談機能
終 章 支援の課題と展望
1 自助・互助機能の衰退に対する提案
2 支援者側の課題
3 支援の仕組みと生活支援法制の課題
4 問題意識は解決されたか
解説にかえて(高橋紘士)
おわりに
引用・参考文献
索 引