新刊案内

著者が還暦の年に出版。この手の本は、早めに手に入れておかないと二度と入手できなくなってしまうので即購入。 久保裕男『MSWハンドブック―難病相談・支援を通して』日本プランニングセンター,2010.12 定価2,100円(本体2,000円+税),B5判,192頁 ○著者略歴 1950年鹿児島県生まれ。1973年鹿児島大学教育学部特別学科(保健体育教員養成課程)卒業。2005年鹿児島国際大学大学院福祉社会額研究科社会福祉学専攻(修士課程)。1974年社会福祉法人曙福祉会吹上学園(知的障害児施設)児童指導員。1976年国立療養所南九州病院重症心身障害児病棟児童指導員。2005年独立行政法人国立病院機構南九州病院地域医療連携室。医療社会事業専門員、社会福祉士、介護支援専門員。鹿児島県難病医療専門員(知事委嘱)2007~2009年まで ○内容 ◎厚労省「国立における在宅医療推進のための研究班」共同研究者であり、在宅医療推進リーダーとしての永年の医療相談・地域ケアの足跡の集大成である。 ◎医師会・保健所・福祉事務所・市町村・国公立病院で構成した、総合的在宅ケアシステムを構築した先駆者としての『地域医療と在宅ケア』の実践書。 ◎「患者生活」に視点を当て、緻密な実態調査と社会資源が不足している過疎高齢地域での患者・家族の支援の具体的事例を網羅している。 ◎とくに第4章は、ここ数年のめまぐるしく変動する医療保障制度とソーシャルワーク機能とその役割を記した。第5章はMSWの役割、MSWと社会福祉士の関係を述べた。第6章、7章は、これからMSW(社会福祉士)を目差す学生を対象に、社会保障制度の特徴と課題などを述べてある。 ○目次 はじめに 第1部  難病とソーシャルワーク  第1章  難病と社会保障制度、研究活動の変遷   1.難病とは   2. 難病の歴史と対策の変遷     1)難病対策の概要     2)難病対策の歴史   3.東京都を中心とした先駆的難病看護・研究活動の成果   4.厚生省(現厚生労働省)研究班を中心とした研究成果     1)厚生省特定疾患 難病の治療・看護に関する研究     2)厚生省特定疾患       難病のケアシステム調査研究班研究報告     3)長寿医療共同研究       (神野進・国立病院機構刀根山病院副院長)     4) 厚生科学研究補助金特定疾患対策研究事業      「特定疾患の地域支援ネットワークの構築に関する      研究班(木村班)」     5)「特定疾患患者の自立支援体制の確立に関わる研究」     6)「政策ネット医療を基盤にした神経疾患の総合研究」     7) 日本難病ネットワーク研究会の成果と課題   5.難病社会保障の実態と課題     1)複合的支援としての難病社会保障     2)難病患者等居宅生活支援事業     3)レスパイトの課題     4)医療機器の飛躍的発展に伴う           医療費増加と生命倫理の兼ね合い  第2章 難病ソーシャルワークの実践   1.難病ソーシャルワークの歴史     1)東京都から始まった難病ソーシャルワークの研究・実践     2)各地における難病医療ソーシャルワーカー誕生と課題     3)日本医療社会事業協会と難病   2.難病ソーシャルワーク実践の特徴     1)難病患者の心理的変化への理解とソーシャルワーク     2)家族の理解  第3章  難病患者へのソーシャルワーク実践   1.筋ジストロフィー病棟入院者に対する支援     1)僕も学びたい、私も社会の中で働きたい     2)スイッチの神様との出会い:敏秀への支援   2.南九州医療福祉研究会における在宅ケアに向けての     研究・実践活動     1)研究調査活動への参加:「南九州医療福祉研究会」での     研究活動     2)南九州医療福祉研究会とソーシャルワーク   3. 神経難病患者への本格的介入:4つの事例を通して考える     1)1通の転院相談書から     2)MSWが自身の実践を分析研究する意味     3)ソーシャルワーク過程の区分について     4)ソーシャルワークの機能分類について   4.難病支援検討会・学習会の成果とMSWの課題  第4章 地域医療連携室創設とMSW   1.大転換を迎えた医療政策 在院日数短縮と      地域医療連携   2.神経内科病棟におけるソーシャルワーク   3.アセスメントシートの限界性とあらたなシートの開発  第5章  新たな時代の流れと重症難病患者      MSWの課題   1.飛躍的に向上した医療機器等による延命と     ソーシャルワークの課   2.コミュニケーションアプローチ   3.地域医療連携創設と医療ソーシャルワーカーの役割     1)保健・医療・介護・福祉のスクランブル連携     2)事例を通して考える     3)退院支援はMSWの大きな業務の一つ   4.MSW(社会福祉士)と研修   5.自己研鑽と「難病対策基本法」の早期制定と実施を 第2部 医療ソーシャルワーカーの歴史的検証  第6章 医療保障制度の歴史的検証   1.保健・医療をめぐる戦後から今日までの流れ     1)敗戦直後から昭和の時代まで     2)平成の時代   2. わが国における医療保障制度の概要とその特徴     1)仕組み・構造(structure)から考える     2)仕掛け・機能(function)から考える     3)仕切り(management)から考える   3. 公費医療負担制度の歴史と仕組み     1)公費負担医療制度の概略     2)医療保障制度の概要と公費負担医療等制度の       関連     3)難病と介護保険制度との関連  第7章 医療ソーシャルワークの歴史的検証   1.わが国における保健医療ソーシャルワーカーの      成立過程     1)医療ソーシャルワーカーの定義     2)戦前における医療ソーシャルワーカーの活動     3)戦後におけるMSWの活動の歴史   2.医療ソーシャルワーカー社会福祉士で     なければならない根拠     1)ソーシャルワークの基本     2)診療報酬と国家資格     3)専門職団体の倫理綱領と行動指針   3.社会福祉士を取り巻く近年の動き あとがき 索  引 社会福祉年表 参考資料