『リーディングス日本の社会福祉』が全巻配刊に

日本図書センターのシリーズ本『リーディングス日本の社会福祉』のうち、第4巻の白澤政和、岩間伸之監修『ソーシャルワークとはなにか』が今月発売となり、いよいよ全巻出そろいます。 ○刊行のことば(出版社HPより) 岩田正美(日本女子大学教授)  わが国で社会福祉の研究を志す人々は、年々増えている。同時に、他の学問分野にとっても社会福祉の現実世界は研究対象としての魅力を増してきているようである。それは、社会福祉が、良くも悪くも、現代社会というものを等身大で映し出す鏡のようなものであり、その中に矛盾に満ちた現実も、それを突破しようとする希望も、共に見いだすことが出来るからではなかろうか。  とはいえ、そうした社会福祉の性格からか、社会福祉研究には、他の分野以上に「流行」に流される傾向があり、介護に焦点が置かれれば、皆がそちらを向く、といった側面がやや強かったように思う。しかも、その「新しさ」は、社会問題の趨勢ばかりでなく、国の社会福祉政策の動向に強く影響を受け、その方針に従って、研究の有り様も変化していくというような面があったことは否めない。また、外国の「新しい理論」に弱い、という特徴も持っている。このため、新たな政策動向や、諸学国の新しい理論を、いち早くキャッチすることには長けていても、それらの変化を貫いて見いだされる本質や、日本の特質を、実証と理論の双方から深く掘り下げ、そこから大胆に時代を切り開いていくような社会福祉の方向を提示することにおいては、やや問題があった。  本シリーズは、社会福祉の若い研究者たちが、以上のような社会福祉研究分野の弱点を克服していくために、日本の社会福祉研究の戦後の蓄積を改めて振り返り、それらを系統立って学び直すことをねらいとした。ただし「系統立って」というのは、必ずしも教科書的な意味ではなく、それぞれの巻で工夫がある。また、この領域設定は、狭義の福祉よりやや広く他の学問分野からの関心をも吸収するようなものとなっている。社会福祉研究を志す人々が、本シリーズを十分活用されることを願っている。