プラザキサというお薬

日本ベーリンガーインゲルハイムが、「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症予防」を目的として開発したプラザキサ。心源性脳梗塞の予防薬であるワーファリンの代替薬として注目を浴びているようです。ちなみに、2011年3月11日に薬価収載されています。

私は医師でも薬剤師でもないので薬そのものの詳細について解説することは控えますが、ここでは転院・転所援助において知っておかなければいけない必要最小限について述べます。というのも、今後転院援助において「よく見かける」お薬になる可能性が高いからです。 ポイントは以下の2点 1.PT-INRの定期測定が不要 これまでワーファリンを服用している場合、PT-INR(プロトロンビン時間国際標準比)の定期的な検査とそれに合わせた量の調整が必要ということで、老健入所時に嫌がられることが少なくありませんでした。そうはいってもワーファリン服用者は老健に一定程度入所しています。私の場合、老健に入職したての新人時代、食事の札のところに「納豆×」と書いてあるのを見て、「ああ、この人は納豆が嫌いなんだな」と思ったのが懐かしいです(笑)プラザキサは感受性の個人差が少ないということで、このPT-INRの定期測定が不要とのこと。さらには、納豆禁止ということも無い様です。 出典:北村正樹「プラザキサ:食事指導やPT-INRの定期測定が不要な抗凝固薬」『日経メディカルオンライン』2011.2.5 2.薬価が高い 「通常、成人にはダビガトランエテキシラートとして1 回150mg(75mgカプセルを2 カプセル)を1 日2 回経口投与する。」、つまり1日300mgを内服することになります。プラザキサカプセル75mgは1錠あたり132.60円。つまり、132.60円×4錠=530.4円かかる訳です。但し、「高齢者は出血の危険性が高いため、本剤1 回110 mg 1 日2 回投与」とのこと。プラザキサカプセル110mgは1錠あたり232.70円。つまり232.70円×2錠=465.4円となります。この値段は、アリセプト錠5mg1錠427.50円とほぼ同額です。うーん…。 1については、PT-INRがネックとなっていた病院・老健においても、心源性脳梗塞の発生リスクを抑えることが出来るという点でwelcomeだと思います。 一方、2については、薬価が高いという点から定額報酬制の病院・老健ではno welcomeだと思います。 心源性脳梗塞の予防薬ということから、神経内科での処方が増加することが見込まれます。今後どのような情勢となっていくのか注目していきたいと思います。加えて、新規アルツハイマー認知症治療薬の「メマリー」「レミニール」も定額報酬制の病院・老健にとっては頭が痛い存在かもしれません。