ALS患者が入院した場合、コミュニケーションに係る支援のみヘルパー利用が可能に

厚生労働省保険局医療課長『(保医発0701第1号)重度のALS 患者の入院におけるコミュニケーションに係る支援について平成23年7月1日が通知されました。 この件については、日本ALS協会が7月7日に簡潔なコメントを出しています。 このコメントの中で「障害者自立支援法は許可済み」と記載があり、根拠となる通知を探してみましたが見つからず(どなたかご存知でしたら教えてください)。 可能な範囲で調べたところ、障害者団体による運動の成果として既に、市町村独自の財源と制度で入院中のコミュニケーション支援を実施していたり、障害者自立支援法地域生活支援事業におけるコミュニケーション事業の枠組みで実施している自治体があるということでした。 ○重度障害者入院時コミュニケーション支援事業を実施している自治体(一部) ・神戸市重度障害者入院時コミュニケーション支援事業(平成19年10月) ・大阪市重度障害者等入院時コミュニケーションサポート事業(平成20年10月1日) ・西宮市コミュニケーション支援事業実施要綱(平成21年4月1日) ・松山市重度障告者入院時コミュニケーション支援事業(平成21年4月1日) ・名古屋市重度障害者入院時コミュニケーション支援事業(平成21年11月1 日) ・横浜市重度障害者等入院時コミュニケーション支援事業(平成22年10月1日) ・堺市重度障害者入院時コミュニケーション支援事業(平成22年10月1日) ポイントはあくまで、入院中のコミュニケーション支援であり、それ以外の療養上の世話については対応できない様です。 もう一つの流れは、「つま先の訴え国動かす ALS患者、ヘルパー病院派遣可能に」『佐賀新聞』2010年06月07日に登場する中野玄三氏。佐賀県知事に、「「短期入院中も、ヘルパー1 件派遣を認めてほしい」」とメールで訴えたことがきっかけとなり、佐賀県として平成22年3月末に国の構造改革特区に「安心レスパイト入院特区」として申請。制度の所管・関係府省庁として厚生労働省は、全国的な対応が必要と判断し、「入院先に介護保険のヘルパーを派遣できるよう通知を見直す方針」であった。この時点ではヘルパーの援助内容はコミュニケーション支援に限定されていなかったように見受けられます。 しかし、平成22年6月2日の構造改革特別区域推進本部における決定事項ではなぜか「重度のALS患者の入院に関し、一定の要件を付した上で利用者負担によるヘルパーの派遣を認めるとともに、介護保険法に基づく地域支援事業等によりコミュニケーション支援を実施できるよう措置を講ずる。」と、援助内容はコミュニケーション支援に限定されてしまいます。 それから約1年、具体的な動きがないままに時は過ぎ、今回の通知に結びついたようです。また、障害者自立支援法での事業とは異なり、あくまでALS患者のみに限定となっています。 ちなみに障害者自立支援法の地域生活支援事業の補助率は、利用者の自己負担を除き、国50%、都道府県25%、市町村25%。こちらは必須事業。 ※「補助することが出来る」規定のため。市町村負担が増える可能性あり。 一方、介護保険法の地域支援事業の補助率は、利用者の自己負担を除き、1号被保険者の保険料20%、国40%、都道府県20%、市町村20%。こちらは任意事業。 ※地域支援事業は、原則として、市町村の介護保険事業計画に定める給付見込み額の3%以内で行うことと定められている。 完全看護といっても、実際にその患者にずっとついている訳ではないので、こういった制度が広がれば重度障害者も安心して(レスパイト)入院できるのではないかと思います。 情報提供頂いたKさんに感謝します。