読書ノート

最近の論文でよく引用されている文献のため、購入。共感できる内容だったので、メモをしておく。 「現場・臨床体験がこれまでほとんど個人的な体験として個々の職員の成長や成熟に大きく貢献してきたことはよく知られているところであるが、その大部分が個人レベルで埋没し、継承されたり、相互に共有できるような『形式知』としての形態をとることは決して多かったとはいえない。 また、これらの諸経験やその内容は特定の施設や機関等の内部の事象(出来事)として保管され、秘密保持を最重要要件として蓄積されていることはあっても、専門家同士の貴重な『共有財産』として相互に分け合い、共有することはあまりなされてこなかった。」(p29) 岡本民夫「第2章 実践的研究方法としての事例研究」岡本民夫ほか編『新しいソーシャルワークの展開』ミネルヴァ書房,2010 また、同書には平塚良子「第4章 実践の科学化 4節 ソーシャルワーカーのスキル活用-分析と理論化」pp.133-147も掲載されており、臨床家にとっては漠然と捉えがちなスキルの全体像を把握できるので有用である。なお、ソーシャルワーカーのスキル(技能)にテーマを絞った書籍『ソーシャルワークの技能』ミネルヴァ書房,2004も、同執筆者グループから出ており、こちらは老健時代に研修プログラムを検討する上で大変お世話になった。