新刊案内

編者の山内常男氏は、医療法人財団健愛会柳原診療所所長。医師。 第7章のテーマ及び執筆者に注目ですね。 山内常男編『ことばもクスリ 患者と話せる医師になる』医学書院,2011年08月 判型 A5 頁 232 定価 2,625円 (本体2,500円+税5%) ISBN978-4-260-01383-3 ○内容 その言葉に患者が傷つくのを知っていますか? 亡くなる患者にどんな言葉をかけますか? あなたの何気ないその一言に、患者さんは喜んだり傷ついたりしています。医療職の言葉には強い力があり、とくに医師の言葉は絶対です。本書では病院に寄せられた苦情や多くの症例をもとに、医療現場で使われている言葉の問題点を示します。苦情を目の当たりにするのは勇気がいりますが、言葉をうまく使いこなせれば、特別な医療技術を使わなくても患者さんを元気にできるかもしれません。「言葉」は重要なのです。 ○目次 まえがき 「薬になる言葉」 第1章 医療にとって言葉とは 医師が患者に話す時 (川上 武)  患者にわかりにくい言葉/診療の流れと言葉/看護師の役割/臨終で交わす言葉/  医師の人間性と言葉  「運命と思ってください」「ありがとう、ごくろうさん、ごめんね」  「医者に教える気か!」「やせられましたね」 第2章 問診に関する言葉 (山内常男)  診察の流れと言葉/呼び出し/聞くことの重要性/病歴聴取と理学的所見  「ゆっくりわかるように呼んでほしい」「専門外なので」  「おなかも触ってくれなかった」 第3章 検査に関する言葉 (山内常男)  問診と検査の関係/検査の承諾と説明/検査とその結果の説明  「あの先生にはかかりたくない」「私にどうしろというんですか?」  「結果が心配で眠れなかった」「ご覧のとおり…」  「ほかの病院に行ってもいいんですよ」 第4章 治療に関する言葉 (山内常男)  疾病構造と言葉/「薬」と言葉/治療の説明/インフォームド・コンセント/  薬物療法に関する説明  「がんばっていますね!」「なんでこんなになるまでほっておいたのか」 第5章 臨終・終末期の言葉 (山内常男)  病状と臨終の言葉/終末期の言葉/患者と医療者の間の言葉/  家族と医療者の間の言葉/患者と家族の間の言葉/  家族の意思を尊重した看取りと言葉  「力至らず、すみませんでした」「いま何がいちばんつらいですか」  「婦長さん、ありがとう」「生きててもあまりよいことありませんし…」  「長生きしてほしいので…」「少しもよくならないじゃないか」  「貴重な症例なので解剖を…」「穏やかな表情でしたね」「いますぐ家に帰りたい」 第6章 病理医は語る 死者の言葉を代弁する (高屋敷典生)  病理医への道/病理解剖と臨床医/死者の言葉を代弁する/ 患者と病理医の会話  「どうして僕は死なねばならないのだろう」「本当は心臓だけでよいのですが」  「背中が痛い、痛みがとれない」「苦しいよ、死んじゃう」 第7章 医療ソーシャルワーカーの仕事と言葉 (鍋谷哲彦)  患者・家族の言葉/患者・家族の言葉と医療/患者・家族の言葉と社会資源  「こんなこと、先生に言えないでしょう」「病院にいさせてください」  「早く退院してもらおう」「あの先生はおかしい」「あの患者はおかしい」  「もうお金がありません」「精一杯やろうと思っていますが、私1人では…」  「ソーシャルワーカー?」 第8章 医療における日本語、言葉自体の問題 (山内常男)  専門用語・略語/俗語と外来語/カタカナ語差別用語/方言/翻訳文化  「端座位」「臥位」「イタミのセイジョウ?」「キロクブ?」「DM」「生食」  「橋(キョウ)」「冷汗(ひやあせ/レイカン)」「ステる」「メタメタ」  「アポる」「エコー」「タッピング」 第9章 診療現場の言葉に影響する諸条件 (山内常男)  問診やコミュニケーションの前提条件/ハード面やシステムの問題/  非言語的態度と言葉遣い/言葉の重要性  「プライバシーを重視してもらえませんか?」「先生、どうしたの?」  「パソコンをパチパチするだけで、ちゃんと診てもらえなかった」  「ちょっと待っててって言ってるでしょ!」  「あの先生は処置が荒くて痛いのでイヤなんだ」 精神科医浜田晋氏インタビュー 心に響く言葉で医療を  精神科特有の言葉の問題/生きた言葉に気付く/言葉は人と同じ/聞く姿勢/  聞くことによる癒し/観察でとどまるか、心理的なやり取りまで踏み込むか/  聞く職業としての医師/医師らしい振る舞い/言葉の持つ二面性/患者への禁句/  男性と女性の違い/患者に嘘をつく/3分診療でも十分/相手の心に響くもの/  疲労と言葉/カルテの重要性  コラム   見た目と言葉とのギャップ (鍋谷哲彦)   職業歴を聞く意味 (高屋敷典生)   “心臓が強い?” 心不全の患者 (山内常男)   せん妄と猫 (山内常男)   見事な旅立ちの挨拶 (山内常男)   使い分けたい言葉 (鍋谷哲彦)   猫に看取られて (山内常男)  あとがき  索引