中央社会保険医療協議会 総会 (第221回)

平成24年2月10日、中央社会保険医療協議会 総会(第221回)が開催され、同日のうちに配布資料がUPされている。 確認するべき資料は、資料(総-1)(PDF:1331KB)『個別改定項目について』 24.2.10である。1月30日にも同資料は配布されていたが、今回は点数が記載されている。 社会福祉士が取り上げられている項目を、以下列挙する。 ・新生児特定集中治療室退院調整加算 [施設要件] (旧)当該部門に退院調整に係る業務に関する十分な経験を有する専従の看護師又は専従の社会福祉士が一名以上配置されていること。 (新)当該部門に新生児の集中治療及び退院調整に係る業務に関する十分な経験を有する専従の看護師が一名以上、又は新生児の集中治療及び退院院調整に係る業務に関する十分な経験を有する専任の看護師及び専従の社会福祉士がそれぞれ一名以上配置されていること。 コメント:専従の社会福祉士配置のみでは算定できなくなる。 ・退院調整加算 (新)入院後7日以内に退院支援計画の作成に着手。2つに分かれていた退院調整加算(主に急性期用と療養病床用)を退院調整加算として統合。 退院調整加算1 イ 14日以内 340点           ロ 30日以内 150点           ハ 31日以上 50点 (新) 退院調整加算2 イ 30日以内 800点           ロ 31日以上90日以内 600点           ハ 91日以上120日以内 400点           ニ 121日以上 200点 コメント:施設基準が1つに統一されたことにより、新生児特定集中治療室退院調整加算と同様に、専従の社会福祉士配置のみでは算定できなくなる。急性期同様に療養病床でも、退院調整に関する部門に看護職を置かなくてはいけない。 従来の「急性期病棟等退院調整加算1 140点」に比べて、入院日数によって報酬が3段階に分けられた。なお、患者の年齢要件が撤廃されるのか否かは本文章だけでは判断できない。14日以内の退院かつ介護支援連携指導料2回算定の場合、3400円+3000円×2回=9,400円となる。 2008年に後期高齢者退院調整加算が新設された時は、同様の援助を行っても、得られる診療報酬は1,000円のみであったことを考えると、入院期間や算定項目の組み合わせにもよるが、9.4倍もの報酬増となる。 但し、入院日数31日以上の場合は、従来の140点から50点へ大幅に引き下げられており、マクロでみるとむしろ減収となる可能性もある。報酬獲得のための退院促進ということであれば論外だが、行った行為に対して得られた報酬を適切に管理し経営陣に提示する慣習を持つことは、医療機関に勤務する社会福祉士にとってより一層重要となろう。 ・精神療養病棟退院調整加算(新設) 退院時500点 [施設基準] 当該保険医療機関内に退院支援部署を設置し、専従の精神保健福祉士及び専従する1 人の従事者(看護師、作業療法士精神保健福祉士社会福祉士又は臨床心理技術者のいずれか)が勤務していること。 ・回復期リハビリテーション病棟入院料1 [施設基準] ③ 専任のリハビリテーション科の医師1名以上、専従の理学療法士3名以上、作業療法士2名以上、言語聴覚士1名以上、専任の在宅復帰支援を担当する社会福祉士等1名以上の配置があること。 コメント:日本リハビテーション病院・施設協会、日本理学療法士協会、日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会の要望が、大枠で受け入れられている。同入院料算定から12年を経てようやく施設基準に社会福祉士の名称が記載された。特定入院料とはいえ、入院料の施設基準に社会福祉士が盛り込まれたことは大きな前進である。これは回復期リハ協議会SW委員会の活動並びに関係団体の強力な支援の成果だ。但し、社会福祉士「等」が付いたため依然として雇用があいまいになる恐れがある。 この「等」の疑義解釈を注視する必要があろう。 なお、本入院料に関する包括的なコメントは、「2012年度診療報酬改定答申」『リハ医の独白』2012-02-11を参照のこと。 ・患者サポート体制充実加算 70 点(入院初日) [施設基準] ① 患者からの相談窓口を設置し、専任の看護師、社会福祉士を配置していること。 ② 患者のサポート等に関するマニュアルの作成、報告体制の整備、職員への 研修等、体制の整備を行っていること。 コメント:病床数の大きな医療機関においては、かなりの収入増がみこまれる。但し、②を管理者が怠ったり必要な権限移譲を当該スタッフに対して行わないと、十分な効果は発揮しないであろう。ストラクチャー評価であり結果は求められていないことから、報酬獲得のためにとりあえず設置するという姿勢の医療機関では、担当する看護師や社会福祉士等が患者と病院の板挟みになって過度なストレスを受け、離職に繋がることが予想される。 用語の定義 専任…就業時間の少なくとも5割以上、当該業務に従事している必要がある。 専従…就業時間の少なくとも8割以上、当該業務に従事している必要がある。