既刊案内

小西加保留「第11章 地域支援論——医療ソーシャルワークの視点から」において、兵庫医科大学病院胸部腫瘍科(中皮腫・アスベスト疾患センター)外来でのソーシャルワーク実践について触れられている。 私は病院配属になって3年6か月経ったが、中皮腫患者にはこれまでアスベスト(石綿)健康被害救済給付申請に3例関わったのみである。別の病院に勤めるゼミの先輩は、同救済制度の不認定処分に対して、不服申し立て支援を行った、とうかがった。ご縁で関わることになった呼吸器領域。他にも呼吸器領域で実践をしているソーシャルワーカーとお互いの実践について協議し、呼吸器領域におけるソーシャルワーク・スタンダードを作りたいという夢がある。


『岡村理論の継承と展開 ソーシャルワーク論』ミネルヴァ書房,2012.8 296ページ ○内容 ソーシャルワークにおいて、人権の擁護、生命や健康の維持、人間の尊厳等を守ることが重要であり、その根拠は価値や倫理原則である。 本書では、この岡村重夫の主張を継承しつつ生活支援としての観点から、ストレングスモデル等の方法論、障害者の就労支援等の実践例を踏まえ、単に制度を適用してサービスを提供するだけではない、価値と倫理を基盤としたソーシャルワークとは何かについて考察している。 ○目次 第Ⅰ部 方法原理論と岡村理論 第1章 ソーシャルワークにおける援助の倫理  1 ソーシャルワークと援助の倫理  2 ソーシャルワーク実践における倫理と価値  3 ソーシャルワークの価値に則った実践の倫理  4 岡村理論における社会福祉の価値と倫理  5 ソーシャルワーク専門職における援助の倫理 第2章 ソーシャルワークにおける社会関係論  1 社会福祉固有の機能  2 社会福祉の対象領域と機能  3 ソーシャルワークの歩み  4 「社会制度の欠陥」の改善 第3章 援助専門職としての社会福祉援助  1 社会福祉援助の構造化に向けて  2 対人援助の構造について  3 対人援助の共通基盤としての援助原則  4 個々の援助専門職を区別する  5 専門職が重視する価値と市民社会が重視する価値  第Ⅱ部 社会福祉方法論と岡村理論 第4章 セルフヘルプ・アプローチ     ——新しいソーシャルワークのアプローチ  1 自発的社会福祉  2 セルフヘルプ・アプローチのおおまかな定義  3 セルフヘルプとは  4 セルフヘルプが実現される要件  5 セルフヘルプ・アプローチの概要  6 ソーシャルワーカーの機能と課題  7 コーディネートの役割を担うソーシャルワーカーの課題  8 セルフヘルプ・アプローチの過程  9 セルフヘルプ・アプローチの考え  10 セルフヘルプ・アプローチの具体例 第5章 岡村理論とナラティブ・アプローチ  1 福祉的人間像における人間観  2 社会構成主義のいう関係性  3 ナラティブ・アプローチの概要  4 関係性と語りの再ストーリー化 第6章 ストレングスモデル——岡村理論との関連性  1 ストレングスモデルの成り立ち  2 ストレングスとは  3 ストレングスモデルに基づいたケースマネジメントの特徴  4 ストレングスモデルの実践——岡村理論との関連性  5 ストレングスモデルを踏まえて    ——「弱さの中にストレングスがある」が問うもの 第7章 岡村理論におけるケアマネジメントの位置  1 岡村理論とケアマネジメントの関係  2 岡村理論に基づくケアマネジメントの枠組み  3 岡村重夫の生活ニーズのとらえ方とケアマネジメント論  4 ストレングス視点を越える支援方法と福祉的人間像  5 ケアマネジメントにおける今後の研究課題    ——岡村理論における「主体性」との関連で 第8章 方法論評価  1 岡村重夫との出会い  2 社会福祉における方法論評価  3 岡村理論と方法論評価  第Ⅲ部 社会福祉実践論と岡村理論 第9章 生活支援論——精神保健福祉実践の視点から  1 岡村社会福祉学の構造  2 社会福祉実践の本質  3 社会福祉援助の原理と社会福祉実践  4 岡村理論に基づく社会福祉実践  5 社会福祉実践の課題 第10章 心身機能の損傷・変調と就労支援  1 社会福祉実践の現場で  2 障害者福祉と社会福祉的援助  3 労働と職業  4 障がい者制度改革推進会議総合福祉部会  5 社会福祉実践としての就業支援と今後の展開 第11章 地域支援論——医療ソーシャルワークの視点から  1 医療制度改革下におけるミクロ実践から地域支援への視座  2 医療ソーシャルワークの定義  3 保健医療ソーシャルワークの今日的状況と地域の関係  4 岡村による医療社会事業の発展過程からみる今日的意義  5 医療ソーシャルワークの機能と地域活動  6 実践事例からの検討  7 地域支援の今後の課題とアドボカシー 第12章 大阪府下市町村社会福祉協議会における地域組織化活動の検証  1 地域組織化活動の手法の発展  2 地区福祉委員会組織化の発展(1962〔昭和37〕年頃〜)  3 在宅福祉時代における3つの組織化(1978〔昭和53〕年頃〜)  4 小地域ネットワークの組織化(1995〔平成7〕年頃〜)  5 ソーシャル・インクルージョンへのチャレンジ(2001〔平成13〕年頃〜)  6 地域組織化活動の到達点と課題 索 引 コラム  1 レジデンシャル・ケア  2 当事者性とセルフヘルプ運動  3 児童相談所機能の見直し  4 ケアマネジメントと岡村理論  5 児童相談  6 病院でのソーシャルワーク  7 新たな社会的貧困の拡がりで問われる「地域福祉」の役割