炭谷茂/村上須賀子「病院の社会的責任と医療ソーシャルワーク」『病院』72巻4号,2013.4,pp.310-316

・炭谷茂/村上須賀子「病院の社会的責任と医療ソーシャルワーク」『病院』72巻4号,2013.4,pp.310-316 【気になった言葉・ことがら】 ・炭谷茂「特別スピーチ これからの日本の福祉と医療の方向--済生会に望むもの」『済生』1998,pp.18-23 →炭谷「無低を行ううえでMSWの役割は重要なのでしっかり担ってほしい、と話した」(p311) ○無料低額診療事業 ・厚生労働省社会・援護局長『(社援発第1276号)社会福祉法第2条第3項に規定する生計困難者のために無料又は低額な料金で診療を行う事業について』2001年7月23日 ・厚生労働省社会・援護課長『(社援総発第5号)社会福祉法第2条第3項に規定する生計困難者のために無料又は低額な料金で診療を行う事業について』2001年7月23日 ・厚生労働省社会・援護局総務課長『(社援総発0308001号)社会福祉法第2条第3項に規定する生計困難者のために無料又は低額な料金で診療を行う事業における人身取引被害者等への取扱いについて』2005年3月8日 ・炭谷「無料低額診療に関するガイドラインをこの1月につくりました」(p312) ・炭谷「今、済生会には約300名のMSWがいる(中略)2年前から、MSWの研修会を始めたのです。それを全部集めるわけにはいかないので、今年は77名に来てもらって、2日間にわたって研修会をします」(p312) ・炭谷「ISO26000という組織の社会的責任について定める国際基準規格ができました(中略)公共性の強い医療法人(中略)はそういう使命を帯びている。病院はまさに、そういう社会的な課題について取り組むのが必要ではないかと思っています」(p316) ○ISO26000について ・ISO/SR国内委員会 http://iso26000.jsa.or.jp/contents/ ・村上「医療ソーシャルワークに従事していると言われる職種は全国で1万人以上います」(p310) →『医療施設調査』『病院報告』各平成23年度版をみると、医療社会事業従事者と社会福祉士の合計でMSWをとらえた場合、病院では15,606人(常勤換算数)で、診療所を含めると20,083名となる。どちらかの職種を除外した数か、それとも謙虚に述べられたのか。 【感想】 ・退院調整にMSWが役立つと経営層が認識したことから、近年MSWの雇用が広がったという事実を踏まえつつ、退院調整以外のMSWの役割・業務(生活困窮者支援)があるのではないか、それを実現するためにはどうすべきかについて議論されていました。MSWが地域に出る具体的事例(大分県済生会病院大分県から地域生活定着支援センターを受託)も紹介されていました。済生会だからできる、と終わらせるのではなく、民間医療機関のMSWとしてはどうすれば地域活動に関わることができるのかを考えるのに、大変貴重な対談記事だと思います。特に、ISO26000による病院の社会的責任とそれを根拠としたMSWの地域活動の展開というのは、新しい視点だと思いました。関係者は是非お読み頂きたいです。