笹岡眞弓『(平成23年度総括・分担研究報告書)急性期病院におけるソーシャルワーカーの実務基準と質指標(クオリティーインジケーター、QI)の開発に関する実践研究』厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究),2012.5

報告書は全50ページ。自院でも把握可能なQIがあれば試験的に把握したい。熟読必要。平成25年度が本研究終了年度であるため、今後出される報告書にも注目。
笹岡眞弓『(平成23年度総括・分担研究報告書)急性期病院におけるソーシャルワーカーの実務基準と質指標(クオリティーインジケーター、QI)の開発に関する実践研究』厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究),2012.5 http://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=201101045A 【研究概要】 研究目的: 保健医療と福祉の連携が我が国の医療及び福祉政策にとって重要な課題である今日、連携の要となりうる医療ソーシャルワーカー (以下SW) の業務を標準化し、その質を担保することを目的とする。 研究方法: SWの質指標(クオリティインジケータQI) を開発するために次の調査研究を行った。まず、国内・外(アメリカ)の文献研究と、全国の主たる9病院の医療SWに質に関するインタビュー結果を基に、米国のQIを検討するために8病院の医療SWをフォーカスグループとし、インタビュー調査を2回行い、日本の医療SWのQI案を策定した。同時にハイリスク基準に関するヒアリング調査を神奈川県の大学病院の医療SWに施行した。次にSWのQIを先行して開発した米国の医療SW9名、研究者5名にインタビュー調査を行いQIの課題を明らかにした。 結果と考察: 日本では、SWのマニュアルの作成は一部進んでいるが、SWのQIもJDもほとんど作成されていない。従って、日本でのQIの作成、望ましい業務のガイドラインの作成はSWの質の向上のために必要である。さらに米国でQIが定着しなかった背景の一つに、データ収集に何のインセンティブもなかったことが挙げられている。日本の現状に適応したQIを策定するためには、米国での調査の知見に基づき、日本での応用を検討し、現在のQI案の検証し、定着のためのシステムを構築することへの提言も含めることが必要である。 結論: 日本での調査の結果、SWのデータ収集の環境には格差があることが判明した。SW介入の必要基準を作成し、米国で得た知見、日本での予備調査の知見を基に作成したSWのQI案を、日本医療社会福祉協会会員を対象とした全国調査によって、より妥当性のあるQIを策定することが必要である。さらにデータ収集環境の整備及び、データ収集へのインセンティブを検討し、QIの普及をはかることが、日本のSWの質の向上にとって必要不可欠であり、その認識が定着することが望まれる。