日本家族研究・家族療法学会 第30回大会(2013.6.21-23)

日本家族研究・家族療法学会 第30回大会に、6月22日・23日と2日間参加してきました。会場は東京都江戸川区にあるタワーホール船堀。 http://www.jaft30.net/index.php と、書くと普通なのですが実は当初の予定では最終日のワークショップのみ参加するつもりだったんです。自分は最終日に参加するつもりで、その日も、これから体験するワークショップに緊張と興奮を覚えつつ新幹線に乗っていました。先に会場入りしているメンバーに「2日間どうでしたか?」とメールをしたら、「2日目から参加できることになったんですね。」と。「あれ、変な返事が返ってきたな」と思ったのは一瞬で、直ぐに自分が日にちを間違えて東京に向かっていることに気付きました…。気付いた時には既に品川駅付近。急いで着替えの購入・ホテルの予約を済ませて、何とか会場入り。結果的に、2日間参加することになりました。 ○ワークショップ「ソーシャルワーク領域における家族の理解―ボーエン理論をアセスメントに活用して―」 講師:福山和女・萬歳芙美子・對馬節子・荻野ひろみ・照井秀子(FK研究グループ) 6/23(日)10:00-16:00 【印象に残った言葉】 ・慢性不安=悪いことではない。まわりを巻き込むことで家族が安定を図る。 ・巻き込まれが悪いということは家族に申し訳ない。巻き込まれるほどの情動を持っている家族なんだと思って下さい。 ・援助者は、家族の振る舞いは長年培ってきた振る舞いをしていると考える。 ・FKグループでは「家族の尊厳の保持」を重視している。家族に対して尊厳を持って接すること。 ・介入の方法には、4パターン存在する。 ①問題のあるメンバー1人を家族から取り出してアプローチする。 ②問題のあるメンバー複数を家族から取り出してアプローチする。 ③問題のあるメンバーを家族から取り出さず家族の支援を得られるように家族全体を支援する。 ④ライフモデルによる介入。家族システムと援助者を含む社会環境システムとの相互作用を活用する。 ・地域の側が問題と捉えていても、家族からみればシステムとして安定している場合もある。サービスを利用せねば。介護予防をせねばという価値判断を家族に押し付けない。 ・それぞれの援助者で重視する点は異なる。それは援助者自信の強みでもある。自分の寄って立つ点を意識して援助を行うことが重要。 【考えたこと】 ・食事時間を除いて7時間の演習。講義は最小限に、グループディスカッションとロールプレイによる学習が中心でした。メンバーがお互い大変集中して取り組めたので、あっという間に終わってしまったというのが感想です。 ・ロールプレイでは、別室でスーパーバイザーが待機しており援助者が相談に行くという場面がありました。重層的で興味深かったです。参加者全員がそれぞれの役に集中したことでとても質の高いロールプレイが展開できたと思います。そのため、「家族の尊厳の保持」を面接に組み込むことで、家族の反応ががらりと変化し、家族の情動の変化を直に感じることができました。これには、援助者役・家族役双方が驚きました。 ・本事例では、地域の援助者が問題と認識している状況は、本人・家族からみると長年の努力の結果であり必ずしも問題とは言えないという内容でした。援助プランに乗ってこない患者・家族がいると、その理由として、つい疾患や気質などラベリングしてしまいがちですが、それへの戒めという意味合いを主催者側の意図として感じました。但し、それはあるがままを受け入れるという単純なメッセージではない様にも思います。 ・福山先生は、「疾患などを指摘する際には相手の尊厳を傷つけず根拠を持って発言してください。」とおっしゃっていました。限られた時間の中での講義なので、あくまでシンプルな事例でロールプレイを実施しましたが、あるがままでよい事例とそうでない事例の見きわめが実際の援助の時には重要だと思います。主催者のみなさんも臨床経験がある方ばかりなので、できればそのあたりまで踏み込んでお話を伺えればと思いましたが、1日研修でそうはいきませんでした。 ・福山先生をはじめ、ベテランソーシャルワーカーのFKグループの方々による大変よく練られたワークショップでした。厳しさの中にも後輩育成のための情熱も感じられ、これまで書籍の中でしか接したことのなかったグループメンバーに(勝手に)親近感を持つことができました。素敵なソーシャルワーカーに出会えたことが私にとって大きな収穫でした。 ・ボーエン『家族評価』は、なかなか理解が難しいですが訳者の皆さんのことを思い出しながらであれば、少しは理解が進むかもしれません。ソーシャルワークに家族療法を組み込むことについて、ますます興味を深めた2日間でした。 【写真ギャラリー】 2013062322170000_3.jpg 名古屋駅新幹線ホームにてきしめん・玉子を食す。まだこの時は、参加する日にちを間違えていたとは思っておらず。 2013062322170000_2.jpg 2日目の夜。ソラマチにある韓国料理のお店「妻家房」にて。 2013062322180000.jpg スカイツリーをパチリ。うーん、おのぼりさん。 2013062322170000.jpg そのあと、スカイツリーを展望しながら飲めるお店「トラットリア ピッコレ ランパーレ」へ移動。素敵な景色でした。 http://piccole-lampare.com/ 2013062322160000_1.jpg 締めは陳麻家へ。http://www.chin-ma-ya.net/ 2013062322160000_2.jpg 担担麺がお薦めの様ですが、締めなので野菜湯麺に。大盛り無料ですと言われましたが、そこまでは食べられませんよ。店員さん。偶然、店内のテレビで映画『アイ・アム・サム』が流れていて、思わず泣きそうになりました。 2013062322160000.jpg 大分でMSWとしてご活躍されている、ハワイ帰りのお兄さんと花柄のワンピースがよくお似合いのお姉さん。また、来年日立市でお会いしましょう。 2013062405570000.jpg 帰りに必ず寄ると決めていた東京駅にある「仙臺たんや利久」へ。20分程並び、念願の牛たん定食を注文。牛たんが分厚く、テールスープもうまし。これは本当によかったです。