「3学会合同で、終末期医療ガイドライン公表- 救急・集中治療現場での対応の参考に」 『CBニュース』2014年11月5日

日本救急医学会、日本集中治療医学会、日本循環器学会三学会合同の終末期ガイドラインが昨日公表されました。

「救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン ~3学会からの提言~」の公表
日本救急医学会HPより)
http://www.jaam.jp/html/info/2014/info-20141104_02.htm

『Q&A集』

Q5:医療チームの職種は決まっているのですか? 人数はどのくらいですか?
A:医療機関の規模により異なりますが、いくつかの専門職種の医療従事者から構成される医療チームです。
人数は決まっていませんが、原則として主治医と主治医以外の複数の医師(複数の診療科の医師を含むことが望ましいとされています)、看護師などが含まれます。必要に応じて、患者本人の苦痛をとるなどの緩和的な処置やこころのケア、家族らの意思決定を支え、終末期に対する理解が深まるように、緩和ケアチームやソーシャルワーカーの参加が望まれます。

【参考】
日本小児科学会『重篤な疾患を持つ子どもの医療をめぐる話し合いのガイドライン』2012年4 月20日
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/saisin_120808.pdf

【生命維持治療の差し控えや中止の検討】
10.生命維持治療の差し控えや中止は、子どもの生命に不可逆的な結果をもたらす可能性が高いので、以下の原則および別紙のチェックリストを用いて、特に慎重に検討する。
(3)子どもの治療に関わる多くの医療スタッフが話し合いに参加することで、限られた医療スタッフによる独断を回避し、決定プロセスを透明化する。
注 2:話し合いには、医師や看護師に加え、父母(保護者)の気持ちに寄り添える立場の人物
(心理士、ソーシャルワーカー、宗教家、親の信頼する人達)を同席させることが望ましい。


「3学会合同で、終末期医療ガイドライン公表- 救急・集中治療現場での対応の参考に」 『CBニュース』2014年11月5日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/44162.html

日本救急医学会、日本集中治療医学会、日本循環器学会の3学会は、共同で検討を重ねてきた「救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン~3学会からの提言~」の完成版を公表した。救急・集中治療における終末期の判断やその対応について「考え方の道筋を示したもの」で、同時にガイドラインの位置付けや使用方法について解説した「Q&A集」も公開された。【坂本朝子】
 同ガイドラインは、患者や家族の意思確認が難しい救急・集中治療の現場で参考にしてもらおうと、3学会が合同で策定したもの。3学会は、さまざまな学会や団体が個別にガイドラインや提言を発表する現状は混乱を招くとし、同じ問題意識を有する3学会で策定するに至ったという。複数回の議論を経て、パブリックコメントを募るなどし、「慎重で丁寧なステップを踏みつつ作成した」としている。
 ガイドラインでは、救急・集中治療における終末期を、「集中治療室などで治療されている急性重症患者に対し適切な治療を尽くしても救命の見込みがないと判断される時期」と定義。その上で、終末期の判断、終末期と判断した後の対応、延命措置の選択肢などを示した。また、終末期医療の質を向上させ、後に検証できるようにするためには診療録への記載が重要であるとし、医学的な検討やその説明、患者の意思、実際の対応など、必要と考えられる記載内容を細かく明示した。
 今回のガイドラインでは、「患者に意思決定能力がある、あるいは事前指示がある場合」の対応が盛り込まれているのが特徴で、医療チームは患者の意思決定能力を「慎重に評価」すべきであり、家族らに異論がないことを原則としながら、異論がある場合には同意が得られるよう適切な支援を行う必要があるとした。
 また、患者や家族らの意思は揺れ動くことがあることから、その変化には真摯に対応することが求められるとし、医療チームで判断できない場合には、「施設倫理委員会(臨床倫理委員会など)にて、判断の妥当性を検討することも勧められる」と付記した。
 一方、Q&A集では、ガイドラインの意義や想定される対象患者、事前指示の方法など、想定される17個の疑問に対する詳細な説明が提示された。
 3学会は、「同様な問題意識を有する他学会と議論し、また多方面からの意見に耳を傾けていく必要があると考えている」とし、今後のさらなる展開に意欲を見せている。