岩崎学術出版社現代精神分析双書

岩崎学術出版社のシリーズ「現代精神分析双書」。本日、ネイサン・アッカーマンほか編(岩井祐彦訳)『家族治療の基礎理論(現代精神分析双書13)』岩崎学術出版社,1969が届いた。

これでこのシリーズのうち4冊を入手することができた。

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本書は、M.ロバート.ゴンバーグ博士(ニューヨーク・ユダヤ人家族福祉機関総所長)の死後、同博士の記念事業として1960年に開催された研究会議で読まれた諸論文を編集したものとのこと。他の書籍と異なり、タイトルや本文にケースワークという言葉が出てくる。何より家族療法のそうそうたる研究者・臨床家が名を連ねていることに驚く。

○目次
ウェストン・ラバール 家族の生物・社会的統一性
サンフォード・N.シャーマン ケースワーク治療における家族の概念
ドン・D.ジャクソン/ヴァージニア・サティアー 家族診断と家族治療における精神医学的諸発展に関する考察
ネーサン・W.アッカーマン 家族葛藤に対する臨床的アプローチのための力学的枠組み
セリア・ミッチェル 障害家族に対するケースワーク的アプローチ
フランセス・L.ピートマン 家庭福祉機関における予防活動への動向
ライマン・C.ウィン 探索的家族治療における家族内的連合と分裂の研究
グレゴリー・ベイトソン 分裂病的家族における行動の生物・社会的統合
イヤゴー・ガルドストン 家族の生死に額的障害の疫学の必要性
マージョリー・L.ベーレンス 家族診断と治療研究に対する挑戦

訳者あとがきを読んで、ゴンバーグというソーシャルワーカーがいたことを知った。同氏がペンシルヴァニア大学社会事業修士課程を修了した前後にはジェシー・タフトが教鞭をとっており機能的ソーシャルワーク理論が展開されていたことが書かれていた。ネイサン・アッカーマンは、執筆当時コロンビア大学助教授であるとともにニューヨーク・ユダヤ人家族福祉機関・附属家族精神衛生クリニックの実地指導・研究担当精神科医でもあった。訳者の岩井祐彦氏が立教大学社会福祉研究所の初代所長であったこと。同研究所は、佐藤悦子氏や木下康仁氏らが所長を歴任し、現在は菅沼隆氏が所長を務めていること。これらが繋がっていることを知って非常に有益であった。

このシリーズ、フローレンス・ホリス(黒川昭登ほか訳)『ケースワーク—心理社会療法 (1966年)』とヴァージニア・サティア『合同家族療法 (1970年) (現代精神分析双書〈14〉) 』がどうしても欲しい。しかし、どちらも1〜2万円もするので高嶺の花である・・・。