「肝硬変支援対象拡大へ…『中等度』まで障害者手帳」『読売新聞』2015年8月13日

新聞記事は2ヶ月前のものですが、連休前に大きく動いたようですね。Child-PughB判定の方も対象になるということで、非代償性肝硬変の人にとっては朗報と思います。というのも、腹水が貯留するころからADLはぐっと落ちてきて、内服・飲水・排便・服薬・体重管理・肝性脳症の兆候の察知など介護者に求められる事柄が増えます。訪問看護を利用してサポートを得ようと思いますが、70才以下の方が少なくなく、利用料が3割負担となるため定年退職の時期とも重なり経済的な制約がかかることがあります。

愛知県では3級以上の取得で所得制限なしに医療費無料となるため、安定した在宅療養継続の観点からも重要な改訂と思いました。きちんとソーシャルワーカーから消化器内科医にフィードバックすることが必要ですね。


「肝硬変支援対象拡大へ…『中等度』まで障害者手帳」『読売新聞』2015年8月13日
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=122548&from=popin

■関連

厚生労働省肝臓機能障害の認定基準に関する検討会(第4回)資料平成27年10月9日

【主な内容】

○ 肝臓機能障害の認定と障害福祉サービスの利用状況について

※指定都市、中核市のうち12市の調査(平成27年6月 厚生労働省調べ)

・肝臓機能障害で新規に身体障害者手帳を交付された者のうち、1級認定者の約6割が肝臓移植を受けたことによる認定であった。

・肝臓機能障害者の身体障害者手帳の認定期間(保有期間)について、平成22年度に交付を受けた者のうち、交付から死亡までの平均期間は、肝臓移植を受けていない者は約 300~500 日間であった。また、平成 22年度から平成26年度までで、肝臓移植を受けていない者の死亡割合は、認定等級に関わらず、約 60%であった。


・肝臓機能障害で認定を受けた者のうち、障害福祉サービスを利用している人の割合は約 1.9%であった。また、年間一人あたりの障害福祉サービスの利用平均額は 89 万 9 千円であった(肝臓機能障害で必要とされるサービスとは関連性が低いと思われる共同生活援助および補装具代を除く)。


・肝臓機能障害で認定を受けた者が利用する障害福祉サービスは、主に居宅介護、就労支援、障害児通所支援であった。」

 

○肝硬変患者の実態と生命予後について

※平成 26 年度 厚生労働科学研究費補助金「障害認定の在り方に関する研究」分担研究「肝硬変患者の生命予後の検討」より 

 

・Child-Pugh 分類C患者の3年目の累積生存率は30.7%と低く、本認定基準の対象者の約7割が3年以内に死亡していた。 

 

・Child-Pugh 分類Bの患者の 51.3%は、3年後に死亡または Child-Pugh 分類Cに移行するなどして、悪化していた。 

 

※Child-Pugh 分類Bの患者の3年後の状況 

B→死亡:30.8%、B→C:20.5%、B→B:35.9%、B→A:12.8% 

 

・現行の認定基準をこのまま継続した場合、その福祉サービスを受給で きる期間および対象者は限定的と考えられた。 

 

・Child-Pugh 分類BとCの病態は、基本的には不可逆的であり、その中 から Child-Pugh 分類Aにまで改善する例は少ないと考えられた。 」

 

○ 再認定について

・Child-Pugh 分類Bの状態にある患者を認定する場合、一部に状態が改 善する事例も想定されること、さらに、今後、C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎や代償性肝硬変について、新薬による影響も踏まえる必要 があることから、Child-Pugh 分類Bで認定された者については、1年以上5年以内に再認定を求めることとする。