第37回日本医療社会事業学会(3日目)

6月4日、あっという間に最終日です。

■特別講演「これからの医療行政とソーシャルワーカーに期待すること~地域医療構想を踏まえて~」 佐々木健厚生労働省 医政局地域医療計画課 課長)

■教育講演「地域包括ケアと福祉改革-ソーシャルワーカーにとって好機か?危機か?」二木立(日本福祉大学 相談役・大学院特別任用教授)

近年の地域包括ケア・地域医療構想の要点について述べ、次に近年の福祉改革について概観した上で厚生労働省ソーシャルワーカーに対する認識を考察し、危機感について論じられた。

「おわりに」

・好機と危機は裏表・背中合わせの関係にあり、未来は関係者・団体の対応でも(ある程度)変わる、変えられる。

・(好機として)退院支援加算1の算定要件に社会福祉士の配置が含まれたこと。(危機として)特に急性期病院の医療ソーシャルワーカーの多くは、病院経営者から在院日数短縮への貢献のみを求められ、心ならずも「患者追い出し係」の役割を果たしている面もある。

・この点を打開する道は、「医療ソーシャルワーカー業務指針」(2002年改正版)が「退院援助」と並んで、「社会復帰援助」と「地域活動」をあげていることに立ち返ることだと思います。

・主戦場は「地域」=メゾレベルでの活動である。

・医療ソーシャルワーカーは病院内の業務に加えて、地域での活動に積極的に参加する必要がある。

・もっと医学医療の基礎的知識を身につけてほしい。病院の医師・経営者が医療ソーシャルワーカーに対する不満・疑問として真っ先にあげるのがこのこと。日本医療社会福祉協会が毎年行っている研修会のテーマにこれ(医学知識)を加えることを期待しています。

・暖かい心を持ち、しかし冷静な頭脳をも兼ね備えたソーシャルワーカーに期待。

ソーシャルワーカーの職能団体の統合はそれぞれの法律もあるので難しいと思う。そのため日本ソーシャルワーカー連盟での活動をより積極的に展開することが重要。その点で今回、日本社会福祉士会の全国大会と日程が被るのはよろしくない。

どの講演でもみられるのですが、おわりにでソーシャルワーカーへの期待について「少し」述べることが少なくありません。異業種の方の演者であれば致し方ないことだと思います。しかし、二木先生は「おわりに」で具体的かつ熱を込めて我々ソーシャルワーカーに語り掛けました。社会福祉士を養成する教員という立場からの危機感を差し引ても余りあるものでした。講演後、司会より冒頭「魂が震えた」との言葉が出る程、迫力のある講演でした。

本講演に向けた二木先生の事前の準備・情報収集は凄まじく、その姿に強く影響を受けました。今更ながらですが、単なるインプットではその理解の質と量に限界があること、そして期日のあるアウトプットがあってこそ、インプットはより注意深く吸収でき、また自身の認識も研ぎ澄まされるのだと実感しています。

Nec_0533

二木先生教育講演。

Nec_0534
みそラーメンのよし乃アピア店へ。やはりラードの油膜で湯気が出ない系。美味し。

Nec_0524
千歳空港内立ち食い寿司。五十七番寿し。全て美味し。

Nec_0525
ロイズのチョコレート工場。メルヘンというよりはむしろターミネーター…。

Nec_0526
何のロボットかと思われるかもしれないが、チョコレートの冷却工程。