新刊案内

大谷京子先生は、観念的というよりは実証的に、ソーシャルワーカーのスキルあるいは思考過程の内実を明らかにしてこられた研究者だと思う。今回の書籍もB5版で150ページとコンパクトながらも、とても興味深い内容。大谷先生のこれまでの研究成果は、MSWにおいても研修構築の際に活かすことができるのではないか。


大谷京子・ 田中和彦『失敗ポイントから学ぶ PSWソーシャルワークアセスメントスキル』中央法規出版,2018.3.20

〇内容
アセスメントは経験年数を重ねるだけで易々とは向上しない。
本書は、PSW初任者の失敗例から原因を解明し、エキスパートの展開例から27の実践スキルを抽出。適正なアセスメントを遂行する術を具体的に解説する。アセスメント力を高めるための研修・自己養成の手法も紹介。

〇目次
1章 PSWがアセスメントで陥りやすい
   失敗ポイント
 ・アセスメントの困難さは何か
 ・失敗ポイントへの着目
   1 PSWの枠組みによる「生活スキルの査定」
   2 情報と真意を読み取れない「変換ミス」
   3 意図的な「話題回避・離脱」
     ―苦手なテーマを扱えない
   4 「病理・欠損モデル」に基づく認識
     ―ストレングス視点が弱い
   5 直線的理解―状況の原因探しに偏重している
 ・5つの失敗ポイント(=困難性)の関連

2章 ソーシャルワークアセスメント
 ・ソーシャルワークアセスメントについて
 ・アセスメントプロセスのモデル
 ・ソーシャルワーカーに求められる認識
   1 問題は個人の持ち物ではない
   2 真実は1つではない
 ・交換モデルによる
  ニーズアセスメントプロセス

3章 アセスメントに活用する実践スキル
 ・アセスメントに求められる姿勢・価値
  ―クライエントからの期待
 ・アセスメントの前提
 ・アセスメントに対するPSWの姿勢
 ・アセスメントプロセスに活用する
  実践スキル

4章 アセスメント力研修&
    自己養成プログラム
 ・アセスメント力をつけるための
  研修の考え方
   1 研修プログラムの着眼点
   2 プログラムの工夫
   3 プログラムの例
 ・アセスメント研修を企画してみよう
   1 アセスメント研修の立案
   2 研修の進め方
 ・個人でアセスメント力をつけてみよう

5章 アセスメントスキルチェックリスト