マイケル・ポーラン『雑食動物のジレンマ(上・下)』東洋経済新報社,2009(その1)

もともとは、今年の7月に宮坂昌之『免疫と「病」の科学~万病のもと「慢性炎症」とは何か~(ブルーバックス)講談社,2018を読んで、慢性炎症の怖さを知り、同時に自分でも食事に気を付ければ対処できそうなこともあると学び、少しずつ実践し始めたところです。人生100年時代。就労年齢も私たちが高齢者になった時には70-75歳になっているように思います。自分がその年まで生きていられるかは分かりませんが、生きているのであれば健康でなくては結構厳しい老後が待っているなと、社会保障を学び実践している者としては考える訳です。

運動し、食品添加物の多い食べ物を控え、炭水化物の量を減らし、オメガ3フィッシュオイル・MCTオイル・ナッツなどの油を意識的に摂取。体重は、みるみる落ちて7ヶ月でマイナス15kg。

数年前に『フードインク』を観た時は、我々が食べる食事について「怖いなぁ」と漠然と思っただけに留まりましたが、気が付けば普通のスーパーに、「抗生剤不使用の牛肉」「人工甘味料不使用の紅茶」「添加物不使用の味噌」「無塩・素焼きのミックスナッツ」「平飼い鳥の卵」など、色々な食品が出ていることを遅まきながら気づいた次第です。

そして、最近『フードインク』を改めて観返したところで、カルフォルニア大学バークレー校ジャーナリズム大学院教授のマイケル・ポーランが登場し、解説していることに目が留まりました。

本映画の中で印象に残っているのは、以下の点です。

アメリカで生産されているトウモロコシは、実に多くの役割を果たしている。燃料、家畜のえさ、様々な食品添加物の原料。
・トウモロコシは、必要以上に生産されその価格は基本的には採算割れしているが政府の補助金で農家は生計を立てている。
・牛は本来多年草の草を食べるために第1胃(ルーメン)があり、そこに存在する微生物で草を発酵・分解し必要な栄養素を吸収する。しかし、それは高くつくのでトウモロコシなどの穀物を与えることで牛肉の価格を下げている。牛は穀物を食べるように体が出来ていないのでそのままにしておくと、第1胃にガスが充満し破裂するため抗生物質を食事の中に投与する必要がある。また、これら一連の過程がO-157が発生した理由でもある。
・食肉用の鳥は、制度数十日で巨大化し、骨格の成長が追い付かず自身の体重で足を骨折する。

複眼的にみれば、トウモロコシのおかげで、我々が日常購入する様々な製品が安く手に入っているという現実もあります。となると、あとは我々が原理主義的的にか、あるいは折り合いを付けながら意識して「選択」することが必要です。

何か日本でもマイケル・ポーランの翻訳されている著書は無いかと探したところ、何冊もあることが分かり、彼の代表作でもある『雑食動物のジレンマ』を読むことにしました。引っ越しをしてさらに近くなった鶴舞図書館の書庫に蔵書があることを確認早速読むことにしました。この続きはまた次回。