新刊案内

浜田陽太郎『「高齢ニッポン」をどう捉えるか』勁草書房,2020年9月

〇内容
新聞記者として長年社会保障報道に携わり、社会福祉士としても活動する著者による「高齢ニッポンの捉え方」。予防は日本を救うのか?公的年金はどこが大切なのか?テクノロジーは介護現場の人手不足を解決するか?正しいデータと事実関係を踏まえて、単なる問題点の指摘や批判にとどまらない建設的な議論のアリーナを開くために。

〇目次

はじめに

序 章 コロナ禍をどう転じさせるか

第1章 誰でも介護が必要に
 第1節 八〇歳まで働くはずが……。六九歳警備員の誤算
 第2節 人手不足と介護の「質」
 第3節 派遣で働くのは、なぜ「コスパ」がいいのか?
 第4節 テクノロジーは人手不足を解決するか
 第5節 「いい加減」は「よい加減」? 日本の介護職と一緒にスウェーデンで実習
 第6節 家族と地域の責任とは

第2章 予防は日本を救うのか?
 第1節 テクノロジーと医療
 第2節 永田町・霞が関経産省主導の「予防医療」
 第3節 予防医療の「聖地」、広島・呉を訪ねる
 第4節 「葉っぱビジネス」の町で 高齢者が活躍でも医療費減らない?
 第5節 生活習慣病は「自己責任」なのか

第3章 公的年金保険はどこが大切なのか
 第1節 お金としての「安定感」
 第2節 「主婦の年金」が導火線 二〇〇〇年代初頭の記録問題
 第3節 「宙に浮いた年金」「消された年金」
 第4節 非正規労働者問題の核心、厚生年金の適用拡大
 第5節 社会保険庁が残した教訓
 第6節 年金「制度」はどう報じられるか
 第7節 二〇〇四年年金改革の表と裏
 第8節 民主党の「年金改革」から学んだこと
 第9節 年金の「複雑さ」と格闘する
 第10節 「老後二千万円不足」問題から考える

終 章 高齢ニッポンをどう捉えるか 社会保障メディアリテラシー
 第1節 首相官邸取材という異世界
 第2節 メディアが抱える三つの課題
 第3節 デジタル化をどう生かすか
 第4節 普通の現場は取材する現場とは違う
 第5節 「観客」「犠牲者」を脱するために

おわりに

索 引

〇コメント
朝日新聞本社に数名いらっしゃるという社会福祉士のお一人。


二木立『コロナ危機後の医療・社会保障改革』勁草書房,2020年9月

〇内容
2019・20年の医療・社会保障関連の主な閣議決定と政府・厚労省文書を読み解き、コロナ危機後の医療と医療政策の今後を展望。

新型コロナ感染症で日本の医療・社会保障はどう変わるか? 経産省主導の「全世代型社会保障改革」の予防医療への焦点化の狙いと危険性とは何か? 患者の「選択の自由」は絶対か? 「地域共生社会」と地域包括ケアの関係とは? 医療・福祉・社会保障制度改革の動向を、最新の資料を用いて包括的・複眼的・実証的・歴史的に分析。

〇目次

はしがき

序 章 新型コロナウイルス感染症と医療改革
 第1節 コロナ危機は中期的には日本医療への「弱い」追い風になる
 第2節 第二次補正予算の「医療・福祉提供体制の確保」策の評価と経営困難な医療機関への財政支援のあり方
 第3節 コロナ感染爆発のアメリカの大統領選挙と医療政策への影響を複眼的に予測する

第1章 経済産業省主導の予防医療推進政策の複眼的検討
 第1節 「千三つ官庁」対「現業官庁」──経産省厚労省の医療・社会保障改革スタンスの3つの違い
 第2節 経済産業省主導の「全世代型社会保障改革」の予防医療への焦点化
 第3節 予防医療の推進で「ヘルスケア産業」の育成・成長産業化は可能か?
 第4節 保健医療の費用対効果評価に「労働(生産性)損失」を含めるべきか?
 第5節 予防・健康づくりで個人に対する金銭的インセンティブや「ナッジ」はどこまで有効か?

第2章 日本の病院の未来と地域医療構想
 第1節 日本の病院の未来
 第2節 地域医療構想における病床削減目標報道の4年間の激変の原因を考える

【コラム】 『地域医療構想のデータをどう活用するか』書評

第3章 地域包括ケアと地域共生社会
 第1節 地域包括ケアがネットワークであることに関わって留意すべき3つのこと
 第2節 「地域包括ケア研究会2018年度報告書」を複眼的に読む
 第3節 「地域共生社会」は理念と社会福祉施策との「二重構造」
 第4節 地域共生社会推進検討会「最終とりまとめ」を複眼的に読む
 補 節 『平成30年版厚生労働白書』をどう読むか?

第4章 「全世代型社会保障改革」関連文書を複眼的に読む
 第1節 「全世代型社会保障検討会議中間報告」を複眼的に読む
 第2節 「骨太方針2019」の社会保障改革方針をどう読むか?
 第3節 「骨太方針2020」の社会保障・医療改革方針をどう読むか?
 補 節 日医総研「日本の医療のグランドデザイン2030」を複眼的に読む

第5章 医療経済・政策学の基礎知識と論点
 第1節 医療経済学の視点・基礎知識と最近のトピックス
 第2節 患者の「(医療機関)選択の自由」は絶対か?
 第3節 医療政策の3大目標(質・アクセス・費用)のトリレンマ説の妥当性を考える
 第4節 医療の質・効果の評価について原理的に考える

【コラム】 『ちょっと気になる政策思想』書評

終 章 私の「医療者の自己改革論」の軌跡

初出一覧
あとがき
事項索引
人名索引