厚生労働省社会・援護局保護課『扶養義務履行が期待できない者の判断基準の留意点等について』令和3年2月26日

病院の方が、何十年前から疎遠な家族であっても「入院したから」「今後手術が必要になるから」という理由で呼びつけていてマッチョかもしれません(苦)。とは言え、事例ベースで言えば、何十年来疎遠であった家族が、入院面会を機に交流が再開するケースもあったりする訳で、制度的理解と、クライエントへの支援は分けて考える必要があります。

医療ソーシャルワーカーのみなさん。要チェック。生活保護申請を希望するクライエントへの聞き取りと生保CWとの連携時に共通ルールとして利用できますね。


厚生労働省社会・援護局保護課『扶養義務履行が期待できない者の判断基準の留意点等について』令和3年2月26日
https://www.mhlw.go.jp/content/000746078.pdf

次の一文が印象的。

1改正の趣旨
生活保護法第4条第2項において、扶養義務者の扶養は「保護に優先して行われる」ものと定められており、「保護の要件」とは異なる位置づけのものとして規定されている。この意味するところは、例えば、実際に扶養義務者からの金銭的扶養が行われたときに、これを被保護者の収入として取り扱うこと等を意味するものであり、扶養義務者による扶養の可否等が、保護の要否の判定に影響を及ぼすものではなく、「扶養義務の履行が期待できない」と判断される扶養義務者には、基本的には扶養義務者への直接の照会(以下、「扶養照会」という。)を行わない取扱いとしている。

■「扶養義務履行が期待できない者」の類型
①当該扶養義務者が被保護者、社会福祉施設入所者、長期入院患者、主たる生計維持者ではない非稼働者(いわゆる専業主婦・主夫等)未成年者、概ね70歳以上の高齢者など
②要保護者の生活歴等から特別な事情があり明らかに扶養ができない(例えば、当該扶養義務者に借金を重ねている、当該扶養義務者と相続をめぐり対立している等の事情がある、縁が切られているなどの著しい関係不良の場合等が想定される。なお、当該扶養義務者と一定期間(例えば10年程度)音信不通であるなど交流が断絶していると判断される場合は、著しい関係不良とみなしてよい。)
③当該扶養義務者に対し扶養を求めることにより明らかに要保護者の自立を阻害することになると認められる者(夫の暴力から逃れてきた母子、虐待等の経緯がある者等)

音信不通となっている正確な期間が判明しない場合であっても、これに相当する期間音信不通であるとの申出があり、その申出の内容が否定される明確な根拠がないことをもって、該当するものと判断して差し支えない