ようやくスタートライン

日々の業務に流されて、気付けば臨床を始めて13年目になってしまった。OneNoteによる実践の言語化作業は着実に進んでいる。OneNoteによってようやく自分がやりたいことのインフラが整った。私がやりたいことは、業務の標準化であり、目的は複数名体制のソーシャルワーカー部門が組織として継続的に一定の質を担保した援助をクライエントに提供できるようにするためである。

着想は、これまでの記事(2009.6.152009.6.202015.8.8)でも述べてきた。色々な知識を先行研究や新聞・雑誌から手に入れるがそれらをストックし、更にすぐ活用できるレベルまで手を加えるための方法がなかったのである。ようやくOneNoteが実現してくれた。但し、まだまだ集積された情報(infomation)レベルと共有された情報・組織知(knowledge)レベルの混合止まりで、価値を生み出し市場を切り開く英知(intelligence)には遠く及ばない。

知識活用についてはナレッジマネジメントを、ソーシャルワークの実践モデル・実践マニュアルの作成には芝野教授のM-D&Dを、具体的なイメージは『今日の治療指針』(医学書院)をそれぞれ活用して、目的を達成したいと思っている。但し、これらの取り組みはあくまで業務改善のためのシステム開発でありゴールではない。認識論や日々クライエントや地域の他機関・多職種から得られるフィードバックを基に絶えず改善活動を繰り返す必要がある。

なお、OneNoteで作成した自部署の実践マニュアルは、言語化されているからこそ、他機関のソーシャルワーカー部門と比較検討できる様になる。お互いに評価し合い、良いところ・不足しているところを補い合って実践マニュアルの質を高める。定期的にお互いの実践マニュアルを評価し合うことで地域レベルでのソーシャルワーク実践の質の向上に取り組むことも重要であろう。恐らくこのレベルになると、大学の教員の力を借りることが望ましく、臨床と学問の接点を臨床家側から作り上げることができる。

ようやくスタートラインに立てた。

■参考
・「芝野松次郎著『ソーシャルワーク実践モデルのD&D-プラグマティックEBPのためのM-D&D』(有斐閣,2015年)」『ソーシャルワーク学会誌』31,2015,pp.5-9