「困窮者支援事業、全国4割超が未実施 制度開始3カ月」『朝日新聞』2015年7月3日

2015年6月30日に開催された、第2回生活困窮者を支援する勉強会にて厚生労働省が提出した資料はこちら


「困窮者支援事業、全国4割超が未実施 制度開始3カ月」『朝日新聞』2015年7月3日
http://www.asahi.com/articles/ASH6L6H1WH6LOIPE033.html

生活保護を受ける手前の人たちを支える生活困窮者自立支援制度で、全国の市の4割が主要な支援事業を全く実施していないことが厚生労働省のまとめでわかった。制度が始まった4月の相談は、全国65の政令指定市中核市だけで約7千人にのぼり、受け皿作りが追いついていない。
 厚労省はこの制度を「第2のセーフティーネット」と位置づける。全国の自治体が日常生活のたて直しなど就労準備、一時的な衣食住の提供、家計相談、子どもへの学習支援の四つの支援事業を任意で実施する。
 同省のまとめでは、813市・東京特別区での各事業の実施率(予定含む)は4月時点で就労準備28%、衣食住19%、家計相談23%、学習支援34%。4事業を全て実施するのは4%、44%は全くしていない。
 厚労省は「人口10万人あたり相談月20件」と目安を示し相談の掘り起こしも促すが、自治体が財源の3分の1から半分を負担することなどから支援体制が整わない。朝日新聞が取材したところ、相談窓口での4月の受け付けは20政令指定市で3851人、45中核市で2973人にのぼった。
 この制度で就労支援の要となる「中間的就労」では企業や社会福祉法人などで実習的に働け、受け入れに手を挙げた事業所を自治体が認定。税制優遇もある。だが、65政令指定市中核市で5月末までの認定は、大阪や名古屋など5市の7事業所にとどまった。(山田史比古)
     ◇
 〈生活困窮者自立支援制度〉 再就職がままならなかったり引きこもったりで生活が苦しい人や、親の収入に頼りいずれ困窮しかねない人などに対し、全国の市が相談窓口を設け、町村部は都道府県が担当して自立を支える。非正規労働の増加など雇用が不安定化し、地域のつながりも弱まる中、従来の「高齢者」「障害者」といった福祉の枠組みから外れる人を対象に想定。そのうち、生活が苦しく福祉事務所を訪れたが収入要件を満たさないなどで生活保護を受けられない人は年間約40万人、引きこもりの人がいる世帯は約26万と厚労省はみている。