日本社会事業大学主催 社会福祉研修センター開講式・記念講演・パネルディスカッション

社会福祉研修センター開講式・記念講演のオンデマンド研修を受講。

社会福祉研修センター開講式・記念講演
https://www.jcsw.ac.jp/about/gakuchoushitsu/files/20201203chirashi.pdf

神野直彦社会福祉研修センターの船出にあたって」
・「危機の時代」を襲うパンデミックパンデミックで危機が訪れているのではない。工業社会からポスト工業社会への移行期の危機に、新型コロナウイルスパンデミックの危機が乗っかる形になっている。危機の時代を危機が増幅している。農業社会から工業社会への移行期は、1347年から1353年まで黒死病(ペスト)が流行。1918年から翌年にかけて流行。軽工業社会から重工業社会への移行期はスペイン風邪

■蒲原基道氏「地域共生社会を支える市町村職員」
・蒲原基道氏は、2代前の元厚生労働事務次官

■片山睦彦氏(藤沢市福祉健康総務課 地域福祉担当主幹)
藤沢市の取り組みについて紹介。
藤沢市(人口約44万人)の社協にはCSWが14名在籍。
CSW子ども食堂の食材について、JAに協力してもらい、直売所で売れ残った野菜を提供してもらっている。
・コロナ渦での給食食材の余剰をCSWが個別のお宅416世帯に届けた。届けるだけでなく、子どもの様子を確認し、担当教員にフィードバックした。
※こんな熱い&権限を持った自治体職員がいると、いいなと思います。

■朝比奈ミカ氏(千葉県中核地域支援センターがじゅまる センター長)
・「相談」よりも「支援」を重視。
・月120件の訪問。
「助言」や「情報提供」ではなく「支援」に重きをおいてきた。
・相談を受けるところはいっぱいある。リソースもいっぱいある。相談を受けた時に「手がない」んです。そういう風に思っている人達が地域にいることも分かって、そういう人たちが点で相談を受けていくのではなくて、少なくとも線で繋がって、できれば面的な活動をしながら受け皿になれれば。
※名前は以前から存じ上げていたが、今回初めて講義を拝聴。



■野﨑伸一氏(厚生労働省元生活困窮者自立支援室長)「地域共生社会に向けた視座」
・現在、広報室長。
社会保障の新しいアプローチ。
・給付にならない、かちっとした制度にならない。
・伴走を基礎に置くモデル。
・地域におけるケア・支えあう関係を多様に広げていくという方向。
・暮らし全体と人生の時間軸をとらえ本人と支援者が継続的につながり関わるための相談支援(手続的給付)を重視した制度設計。
・(重層的支援体制整備事業を)やりたいという市町村が150-200ある。
※市町村数が1741(2019年2月15日現在)のため、約1割の自治体が初年度に同事業を開始する見込み。
※自身の家庭のご事情もオープンに話される。誠実さを感じた。

■研修を受講しての感想
・地域共生社会あるいは重層的支援体制整備事業の事業概要ではなく、その背景・理念について学ぶことができた。コロナがなければこの様に遠方の研修を自宅にいながら受講できる環境はできなかったと思う。1000円の受講費以上の価値があった。
・朝比奈氏の言葉が重く心に刺ささりました。病院のソーシャルワーカーは、地域に出て行く必要があることはある程度共通の認識になっているでしょうか?ミクロレベルでは、通院が何らかの事情で出来ておらずかつ地域の関係機関とも繋がりがまだできていないクライエントの自宅訪問、一人で各種手続きに行くこととが困難なクライエントの同行訪問。メゾレベルでは、要対協や地域連携パス会議、難病・障害・自殺などの地域の協議の場、住宅確保要配慮者居住支援協議会への参加とコミットメント。今後は、重層的支援整備事業の一環として、協議の場への参加とコミットメントが想定されます。病気・ケガをきっかけに全属性の患者・家族と日常的に関わりのある病院のソーシャルワーカーにとって、メゾレベルの実践とし取り組みやすいのではないでしょうか。行政・社協社会福祉法人NPO・地域住民との協働の場において病院を代表してソーシャルワーカーが参加し、また所属機関にフィードバックできると良いなと思います。