鶴舞散歩(06.10.25)

・安部ゆみ子(白澤政和解説)「老人保健施設入所者に対する在宅復帰に向けての支援」『月刊ケアマネジメント』2006,pp.36-41 種類:事例検討 【コメント】 「老人保健施設で作成・実施するケアプランは、いずれの入所者についてもいかに“復帰”を進めていくのかを最終ゴールにしなければならない。・・・(中略)・・・決められた入所期間の中で、どのような形で本人や家族のしたいことやできることを増やし、“復帰”を実現していくのか、そのためには職員はどのように対応していくのかが話し合われ、ケアプランに記述され、じっしされることである。具体的には、最初の時点から、退所を最終ゴールとしたケアプランの内容について時間をかけて話し合い、約束することだと言える。」(p40) 確かに施設ケアプランの「長期目標」の内容を見ていて、「利用者の施設生活におけるQOLの維持・向上」と書かれていると、違和感を感じてしまう。しかし、それはケアスタッフに無意識のうちにそう感じさせてしまう様な「目的のない入所」を、支援相談員が作り出してしまっているからだと反省することも事実である。きちんと利用者・家族と共に、達成するタスクを明確にして、約束(エンゲージメント)するプロセスが必要である。そういった意味で白澤先生の意見には賛成である。また、そういったことがきちんと実行できるようになれば、ケアスタッフの顔も輝いてくると思う。 一方、我々には稼働率を維持しなくてはいけないという経営的事情もある。皆が皆、在宅復帰を目指している人だけを選別して、入所させている老健があるとはもれ伝え聞いているが、うちではそうはいかない。みんながみんな、自宅ではないにしろ、次々に出て行ってしまったのでは、待ち行列が無い状況下においては空所が出来てしまい、経営上厳しい。ある程度、「特養待機」の利用者を確保しておくことも稼働率維持には必要であると思う。(地域性にもよるかもしれないが。)但し、全入所者のうち、どの程度そういった層で占めることが健全なのかについては、個々の施設において大いに議論するべきであろう。 また、最近思うこととして以下3点を挙げる。 ①入退所を回転させすぎるとケアスタッフが混乱をきたしてしまい業務が煩雑になる。ある程度の余裕も必要。 ②在宅サービスを利用していた人を丁寧に在宅復帰させて、ケアマネにバトンタッチすると、ケアマネからの施設評価が上がり、逆にケアマネから利用者を紹介してくれるようになる。 ③在宅復帰に真面目に取り組めば、在宅生活の維持のためにと通所リハビリテーションを利用する人が増加する。通所リハビリテーションの利用者を増やすためにも在宅復帰は必要。 ・岸田研作「施設介護職員の仕事満足度に影響する要因」『週刊社会保障』№2403,2006,pp.50-53 種類:量的調査 ・稲森公嘉「社会保険におけるリハビリテーション」『週刊社会保障』№2402,2006,pp.50-53 種類:評論 ・辻哲夫「国民の連帯感が社会保障制度の基盤」『週刊社会保障』№2400,2006,pp.12-19 種類:インタビュー ・宮島洋「社会保障の諸課題-社会保障の在り方に関する懇談会報告を中心に-」『週刊社会保障』№2400,2006,pp.20-25 種類:解説 ・「ダブル改定の波紋と老健施設のこれから」『病院経営』2006.10 →武原光志「老健の役割機能 在宅復帰を考える」pp.60-66 種類:実践報告 →古城資久「人材育成、採用をいかにできるか」pp.67-74 種類:実践報告 →編集部「老健に求められる役割分担の明確化」pp.75-81 種類:実践報告 →柿田京子「要求される高い精度に現場体制の構築が問われる」pp.82-85 種類:実践報告 ・後藤玲子「自立の社会的基盤と公的扶助」『賃金と社会保障』№1426,2006,pp.4-10 種類:総説 ・阿部真菜美ほか「MSWのコーディネート機能と平均在院日数、病床利用率への影響分析」『病院』2006,pp.838-841 種類:量的調査 ・「『光風に行くと元気になる!』。パワーリハは著名な改善をもたらし、退院後のリハの継続に利用」『GPnet』2006.10,pp.36-43 種類:実践報告 →在宅復帰率に短期入所療養介護の利用者を含める風潮は何とかならないものか・・・ これでは、実際の在宅復帰率がぼやけてしまう。 ・「減収率で昨年比で1%前後であるが、今後減収率は高まるので、さまざまなかさんで対応する」『GPnet』2006.10,pp.44-52 種類:実践報告 ・亀岡留美ほか「パニック状態の介護者への援助を通して学んだこと 家族生活力量アセスメントスケールを使用して在宅生活の継続を図る」『訪問看護と介護』vol.11,№10,2006,pp.945-950 種類:事例研究 →K君のブログで紹介。「家族生活力量アセスメントスケール」という聞きなれない単語。掘り起こすと色々出てきそうだなー。